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THE映画紹介『スティルライフオブメモリーズ』鬼才アンリ・マッケローニの意思を継ぐ日本人カメラマンの苦悩を描く!!

THE映画紹介『スティルライフオブメモリーズ』鬼才アンリ・マッケローニの意思を継ぐ日本人カメラマンの苦悩を描く!!

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『スティルライフオブメモリーズ』

作品情報

『無伴奏』『三月のライオン』の矢崎仁司監督が『GONIN サーガ』『キッズ・リターン』の安藤政信を主演に迎え、女性の肉体の美しさや神々しさを撮り続けたフランスの写真家アンリ・マッケローニとその被写体となった愛人の実話に着想を得て描いたドラマ。山梨県立写真美術館のキュレーターをつとめる怜は、偶然訪れた東京のフォトギャラリーで、新進気鋭の写真家・春馬の写真に心を奪われる。翌日、怜は春馬に連絡を取り、彼女自身を被写体にした写真を撮影して欲しいと依頼する。春馬は突然のことに戸惑いながらも怜の写真を撮りはじめ、2人は撮影を通して次第に惹かれ合っていく。そんな中、妊娠中の春馬の恋人・夏生が怜の存在を知り……。

『スティルライフオブメモリーズ 』基本情報

2018年製作/107分/R18+/日本

監督: 矢崎仁司

出演 : 安藤政信、松田リマ、永夏子など

短評

フランスの画家・写真家のアンリ・マッケローニが撮り続けた、女性器の写真の数々に触発された矢崎監督の故郷でもある山梨県を舞台に移し、その写真によって、交差する3人の奇妙な愛のかたちを描いたアート・ムービーである。

この映画ではじめてアンリ・マッケローニという名前を聞いた人も少なくはないだろうが、逆に言えば、知らないからこそ、この映画を女性器アートの探求に生涯をかけたアーティストがいたということを知るきっかけとなる作品として、私たちの想像を超える、新しいアートに足を踏み入れる感覚を体験できるかもしれません。

アートとは何なのか...改めて考えさせられることは間違いない。

写真というアートから、映画というアートが作られ、そしてまた題材となったアートが知られる...アートからアートへの橋渡しができるのも映画の持つ力・特徴と言ってもだろう。

近年はレスリー・キーのプロデュースで写真集を発表するなど、写真家としても活躍している、安藤政信が写真家の役を演じているため、写真家の気持ちにが演技にも投影されていて、とても説得力があったりもする。

写真の題材が題材なだけに、問題視されることも多く、今作でもマッケローニの写真集には、モザイクがかけられていて、よくわからない。

そんな状態でよく映画化したという部分もあるし、モザイクをかけてしまうということは、映画自体がアートとして直視できていないという問題もあったりする。

『天国の口、終わりの楽園』という映画の出演者達が日本で映画を観た際にボカしだらけで大爆笑したというエピソードがあった。あれから15年以上経っているというのに、何も変わっていないどころか、規制は更に厳しくなってしまっている。アートとエロスの境界線を映画業界は今一度考えたほうがいいと思う。

アンリ・マッケローニとは?

アンリ・マッケローニというのは、1932年生まれのフランスの画家・写真家である。

ポストシュルレアリスムの画家として作品を発表しながら、69年からは女性器の撮影を開始します。そしてこの映画の原点となる『とある女性の性器写真集成百枚ただし、二千枚より厳選したる』が完成する。

この写真集は。その題材から女性解放運動家の標的となり、一大スキャンダルを巻き起こすことになりまったことで、逆に話題となることにもなった。

その後、個展などで一部観ることはできたのだが、写真集そのものは現在も日本への輸入が禁止されていて入手困難アイテム。

そのため、写真家の間では名前が知られていても、この日本では一般的にはなかなか名前を耳にすることのないアーティストだったりする。

長年、海外を見てきた視野の広さを持つ、矢崎監督だからこその題材と言っていいだろう。

様々な意味でも分岐点的な作品として、ある意味では映画史に残る作品といっても良いのではないだろうか。

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