作品情報
仕事も家庭も順調だった小山内堅の日常は、愛する妻・梢と娘・瑠璃のふたりを不慮の事故で同時に失ったことで一変。深い悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と名乗る男が訪ねてくる。事故に遭った日、小山内の娘が面識のないはずの自分に会いに来ようとしていたこと、そして彼女は、かつて自分が狂おしいほどに愛した“瑠璃”という女性の生まれ変わりだったのではないか、と告げる。
『月の満ち欠け』レビュー

タイムループやマルチバース設定があたり前となり、もはや原理すらも説明されない作品が増える現状自体にも問題あると思いつつも、ここまでのご都合主義な作品を観たことはなかったというか、出演者が豪華な「幸福の科学」映画としか思えない。
ネタバレをしないと語りにくい作品だから言ってしまうが、今作は輪廻転生の物語であり、正に宗教的な映画といえる。インド映画のヒンドゥー教的なものがあるなら理解できるが、日本のようにそんな設定自体に不慣れな国で当然のように輪廻転生を繰り返している人間の物語を描いても宗教映画にしか思えない。
1度ならわかるが、何度も繰り返し転生する設定には幻滅。
しかも1人だけじゃない。ある一定の期間までは普通の子どもとして育っていたのに、ある時期を境に別の人格が芽生えるなんて、ホラー以外の何ものでもないし、周りの人物もそれを受け入れて生活しているのもおかしな話だ。
前世の記憶があるのに、他人の子として人生をやり直し、その想いを心にしまい続けることなど、精神的に可能なのだろうか……。
そして更に、この世界には前世の記憶をもった人間が一定数存在するという設定を美談のように描いているが、それなら死刑囚や殺人鬼も転生していることになってくるし、そうじゃないとしたら、その選別は??
まだあからさまに言及してくれる「幸福の科学」映画の方が潔い。
未練をもった人で行いが良かったという選別だったとしても、その選別の原理が宗教的としか言いようがない。そんな簡単に転生できるなら死への概念も覆ってしまう。
考えれば考えるほど、ご都合主義な展開の連続で、肝心の家族愛的なメインストーリーが全く集中できない。映画化した監督や脚本家が悪いというよりは、原作に問題があるのではないだろうか。
点数 70

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