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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ミッドサマー』田舎は怖い!この一言につきる

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ミッドサマー』田舎は怖い!この一言につきる

作品情報

長編デビュー作『ヘレディタリー 継承』が高い評価を集めたアリ・アスター監督の第2作。不慮の事故により家族を失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人たち5人でスウェーデンを訪れた。彼らの目的は奥地の村で開催される「90年に一度の祝祭」への参加だった。太陽が沈むことがないその村は、美しい花々が咲き誇り、やさしい住人たちが陽気に歌い踊る、楽園としか形容できない幸福な場のように思えた。しかし、そんな幸せな雰囲気に満ちた村に不穏な空気が漂い始め、妄想やトラウマ、不安、そして恐怖により、ダニーの心は次第にかき乱されていく。ダニー役を『ファイティング・ファミリー』『ブラック・ウィドウ』のフローレンス・ピューが演じるほか、『トランスフォーマー ロストエイジ』のジャック・レイナー、『パターソン』『グッド・プレイス』のウィリアム・ジャクソン・ハーパー、『レヴェナント 蘇えりし者』のウィル・ポールターらが顔をそろえる。

『ミッドサマー』レビュー

お金や将来の不安、人間関係の問題なんかが多くある現代社会の中でストレスや規則に縛られて、生きているのであるが、田舎では自給自足で自然と共に、のんびりとした時間が流れていて、ストレスなんて感じないという考えから、田舎に移住したりする人は、日本でも海外でもいたりする。

一見、非の打ちどころのない楽園のような場所。確かに都会や現代人の抱えるストレスは感じないかもしれないし、その中では、大した問題ではないと感じていまう。しかし、村のしきたりや風習は、私たちの想像を超えたものであるが、一般的視点と村人たちの視点は違い、それを恐ろしいこと、異質であることとは思っていない。村のことしかしらない人が都会に来て恐怖体験をするという逆パターンもあるが、このパターンはコメディになることが多い。

今作のコンセプト自体は、昔からある古典的な王道ホラーだと言える。若者たちが訪れた場所が実はヤバい所だったというのは、『悪魔のいけにえ』『食人続』『サイレン』『犬鳴村』などなど…各国のホラーでよくある設定だ。

今回、何が恐ろしいかというと、殺人鬼がいたりするわけではなく、村の風習に知らないうちに参加させられてしまうという、悪意のない恐怖が連発するということ。それは村人にとっては、普通のことであため、何をされても、その村内では、人格的に異常者ではないのだ。

私たちの常識は、国が違えば通用しないことなんて、よくあるし、また他国の中でも限られた場所の村となったら、想像しきれない風習があってもおかしいことでも何でもないのだ。世界のおかしな風習を疑似体験するという点では、ヤコペッティにも通じている作品だと思う。

アリ・アスターのド変態的世界観であるから、更に次に何が起こるかわからないという、恐怖なのか緊張感なのか、実はワクワク感なのか…なんだかわからない期待を自分自身がしてしまっていることに映画を観ていれば気づくだろう。

アリ・アスターという監督は、インテリのような人だが、実はそういう人こそド変態だったりするという象徴のような人物像である。

映画制作という点でも、いくらスウェーデンがかつて行っていたといわれるものを題材としているといても、基本的には完全オリジナルな民族の風習を描いているため、自由度が高いことからも、「とにかくお花を散りばめてみたら…」とか「飲み物に何かよくわからない草でも入れてみたら…」と楽しさが伝わってくるのだ。

今作を体感するという意味でも、ネタバレしないで観た方が絶対いいと思う。次に何が起こるかを知りたいという欲求をもったまま観た方が今作は楽しめるに違いない。

ヒロインのダニーは、両親と妹の死で日々、不安感に襲われ取り乱すこともある。気分を変えるべく訪れた村でも不安感は増すばかり…しかし、異質である儀式や風習がダニーにとっては、今までの負の連鎖が浄化されている様にも感じられる。結果的に何か嫌なこっとがあったら田舎や自然あふれる場所に行こう!という考え方は、今作のダニーにとっては正解だったのかもしれない。

負の連鎖が浄化されたダニーの表情は、純粋そのものと思えるほどフローレンス・ピューが幼く感じられる。あの表情は、なかなか出来るものではないと思う。

点数 80点

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