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この映画語らせて!ズバッと評論!!第35回東京国際映画祭SP『孔雀の嘆き』自分の家族のためか、それとも人間としての良心を優先させるのか……

この映画語らせて!ズバッと評論!!第35回東京国際映画祭SP『孔雀の嘆き』自分の家族のためか、それとも人間としての良心を優先させるのか……

作品情報

妹の心臓手術のために大金が必要となったアミラはとある会社で働き始める。それは望まれない妊娠で生まれた子供を外国人に斡旋する組織だった…。スリランカの逸材が描き出す社会のダークサイド。

『孔雀の嘆き』レビュー

両親を失い、妹も難病で高額な医療費がかかり、手術をしないと助からない。赤ちゃんと幼い弟をかかえて生活する子どもだけの家族の長男が主人公アミラ。

施設に入れば最低限の生活はできるかもしれない、しかしそれだと家族はバラバラになってしまうし、妹も手術できるかもわからない。そんなときに偶然出会い、親切にしてくれた身なりの良いマダムの元で働くことになるが……

そこは生活の困窮や様々な事情で子どもを育てることができない妊婦を集めて、養子斡旋業を行っている。しかし、それは完全に闇に塗れた人間ファーム。

自分の妹の命を守るために、命を売る手助けをする。自分の家族が離れないために、他人の子どもを親から引き離す。

そんな両極端な世界を見て、幼い兄妹がいる身としては良心の呵責が絶えず襲ってくる。

またマダムも裏で警察関係者とも繋がっていたり、 スーパーよりも仕入れが早いと言われる闇のマダムであることに違いはないのだが、実は何かとてつもない過去を抱えていたりで、完全な悪でもない。アミラを利用しようと思っている部分もあるものの、一方でアミラの家族を救ってあげたいという気持ちがあるのも事実。

明確には説明されないものの、はじめは本当に身よりのない子どもたちを助けようして始めた養子斡旋業であったのだろうということを、マダムの表情から伝わってくる。

自分の家族のためか、それとも人間としての良心を優先させるのか……倫理観が崩れ去ったような状況の中で、様々な人物の葛藤と苦しみが交差する、暗黒版『ベイビー・ブローカー』だ。

点数 85

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