作品情報
月島春は、パートナーの宗一朗、その連れ子である高校生の蘭と生活を共にしていたが、蘭はカナダに留学することが決まっていた。空港で蘭を見送る宗一朗と春。春は、蘭が去ることに言い知れぬ寂しさを抱えていた。
ある日、春は元夫の賢治から食事に誘われる。賢治は再婚することを春に告げる。付き合っている相手が妊娠したための、「授かり婚」だと言う。結婚していた当時、賢治と春の間にも、産まれてこなかった子どもがいた。
その帰り道、春は電車の窓から「里親募集」の貼り紙を見つける。翌日相談所で話を聞き、宗一朗に二人で里親になって子どもを引き取りたいと話を持ち掛ける。蘭が去ったばかりの急な提案に驚き、それを一蹴する宗一朗。その挙句「他に好きな人ができたから別れて欲しい」と春に告げる。蘭に続いて宗一朗も失った春は、一人荷物を抱えて家を出る……。(公式HPより)
『三度目の、正直』レビュー
予算が有る無しに関係なく、物語が良くできていれば、素晴らしい作品が出来上がるのは間違いないが、やっぱり役者の演技は必要で、低予算であればあるほど、役者頼りな部分が大きい。
今作が非常に残念なのは、物語は良くできているのに、役者の演技がとにかく酷いことだ。
自分に才能があると信じて、痛々しい役なのか、それが素なのかわからないラッパーの小林勝行は、もともと役者ではなく、素人だから演技が下手でも仕方ないにしても、プロであるはずの主人公・春役の川村りら含め、ほとんどの役者が棒読み過ぎて、特に医者の役の田辺泰信という俳優が、聞いてられないぐらい酷く、なぜか少し二枚目な役が、いちいち気に障る。
一部上手い俳優が混ざっているだけに、下手な俳優が浮き彫りにされてしまう。
そうは言っても、観ていると……途中から麻痺してきて、棒読みセリフにも慣れてくるし、役者たちも徐々に役に溶け込んでいるのを感じるものの、 田辺泰信の演技だけは、終始下手だった。
具体的な例は出さないでおくが、地下アイドルが出演しているような、インディーズ映画や河崎実の映画であれば、そもそも物語も演技も酷いことが前提になっているから、ネタとして観ていられるのだが、今作に関しては、間違いなく脚本は良くできている作品といえるだけに、残念でならない。
記憶喪失の青年に、自分の人生の意味を見出そうと、必死にもがく。自分にもし子どもがいたら、青年ぐらいの歳になっていたかもしれない。
自分が失ったしまった時間と人生を、青年と過ごし、面倒を見ることで、少しだけでも取り戻せるような気がしている。
それが自己満足や、幻想だと気づいていながらも……という春の複雑な心境がよく描かれている作品なだけに、役者が違っていれば、傑作になったはずだ!!
点数 62
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