作品情報
ポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたエンターテインメントフィルムが誕生! 監督は「イヴの時間」、『サカサマのパテマ』などで海外からも注目を集め、アニメーションの新たな可能性を切り拓いている吉浦康裕。自身が得意とする「AI」と「人間」の関係というテーマを、高校生の少年少女たちが織りなす瑞々しい群像劇という形で描写し、圧倒的なエンターテインメントフィルムとして仕上げている。キャラクター原案には、気鋭の漫画家・紀伊カンナ、共同脚本には、『コードギアス』シリーズや「SK∞ エスケーエイト」の大河内一楼が参加。また、劇伴・劇中歌は「SK∞ エスケーエイト」の高橋諒、「プリパラ」「ドリフェス」の松井洋平が作詞を担当。ちょっぴりポンコツなAIの主人公・シオンを土屋太鳳が演じ、多彩な楽曲たちをエモーショナルに歌い上げる。もうひとりのヒロインであるサトミを福原遥、幼馴染のトウマを工藤阿須加が演じ、小松未可子、興津和幸、日野聡といった実力派声優も集結!
『アイの歌声を聴かせて』レビュー
謎に評価の高い作品ではあるが、かなり王道の作品。
転校生によって、周りがかき乱される王道のプロットであり、オタク、ギャル、スポーツバカ、真面目、チャラ男などメンバーのジャンル選出にいたっても徹底的に王道ときている。
そこにAIという近代的なものが導入されているとはいっても、少年漫画もそうだし、海外の学園ものであっても、転校生が特殊な存在であることはよくある話で、それがロボットだったからといって、何も新しさは感じられない。
そもそも実際に人間社会での実験をしていないロボットをゲリラ的に人間社会に送り込むこと自体に問題があって、そんなバカな研究者がいるのかと思うほど。
主人公の母親が研究者であって、実際に人格的に問題があることからも、何かをやらかしてそうな人物ということはわかるのだが、そこにライバルの嫉妬が入り込むことで美化されている。
冷静に考えるとかなり無理のある設定であり、悪役扱いされている人物の方がまともなことを言っているのだ。
急に歌い出すという設定も上手く活かしきれておらず、学校に溶け込むのであれば、突然歌い出す不思議ちゃんでも、最終的には全校生徒に慕われるほどの存在になるというのであれば見応えもあるのだが、結果的に少人数のコミニティとして孤立してしまっていることが全体的にこじんまりとしている原因だろう。
少人数グループの中で、秘密を共有する設定はあたりまえのものとして、その周りのモブ的な存在をどう絡ませるかが醍醐味であるというのに、非常に小さい規模での展開しかみせず、恋愛要素とか、友情とかを描くのはドラマや映画といった実写でやればいいだけの話であって、アニメでやるのであれば、アニメにしかできないことを存分にやってもらいたいところだ。
ミュージカル映画であれば、もっと曲を聴きたいと思うものが、あまり聴きたくないと思わせる映画という点で問題。
「ミュージカルで突然歌い出すことの違和感を説明づけた」というようなことを書いてある紹介記事を読んだが、いいかげんに映画自体が非現実空間であるし、メタファーとして音楽で表現されているだけであって、急に歌い出すからミュージカルが嫌いという人は、急に銃が出てくるからアクション映画が嫌い、急にカーチェイスするからカーレース映画は嫌いだというのと同じことてせあって、紹介する側がミュージカルというものを理解できていない。
ひと昔前のステレオタイプに偏ったものを引っ張り出してきていて、作り手が理解できていないし、どうも茶化している部分が大きいだけに、ミュージカルファンからしたら非情に不愉快な部分も多い。
そうはいっても総合的に決して悪い作品ではないとは思う。しかし、記憶に残るような作品でもない。
点数 70
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