ニューヨークのクイーンズを舞台に、NBAでプロ選手として活躍することを夢見るているが保守的な父親の圧力によって阻まれる青年「ブギー」を主人公にしたサクセス・ストーリー。
主演を務めるのは日系人のテイラー・タカハシ。テイラー自身もカルフォルニア州にあるアラメダ高校ではバスケットボールの選手として注目されていた経験があり、自身の物語も作品にリンクする部分があることで、演技に説得力を持たせている。
監督を務めるのもアジア系のエディ・フアン。長編映画としては初監督作品となるが、アメリカでは弁護士業やレストラン経営など幅広く活躍しており、実業家しても注目される人物である。
『クレイジー・リッチ!』『ハスラーズ』のコンスタンス・ウーと『アクアマン』『ワンダヴィジョン』のランドール・パークを主演にむかえ、自身の家族をモデルにした自伝的ドラマ『フアン家のアメリカ開拓記』のプロデューサーとしても知られ、ドキュメンタリーシリーズ『エディ・フアンがゆく』では、エディ自身が世界各国の歴史や背景、多文化主義、人種、アイデンティティー、自らのルーツを考察する内容が話題となった。
アジア系へのヘイトクライムが社会問題となっていながらも、第93回アカデミー賞では『ノマドランド』や『ミナリ』などに関わったアジア系の映画人たちが評価され、話題となるなど、映画界も多様性が求められている中、アジア系の中でもまだまだ立場の弱い日系人。今作でも日系人ではなく、中国系アメリカ人という設定である。
『ホテル・ムンバイ』『ウェディング・ゲスト』のデヴ・パテルもインド系ではあるが、イギリス育ちのイギリス人。それでもコテコテのインド人の役を演じ続けた結果、今では『どん底作家の人生に幸あれ!』のようにイギリス人を演じる立場にまで成長した。
極端なことを言うと、アジア系の区別がほとんどつかないアメリカにおいて、はじめは別のアジア人の役を演じることになったとしても、俳優を続け、主張を続けることで「彼は日系人だ」と周囲に納得させられることもあるのだ。長い道のりではあるがテイラー・タカハシの活躍には今後も期待したい。
その他にも『ゾラ』『マ・レイニーのブラックボトム』のテイラー・ペイジや今作が惜しくも遺作となってしまったラッパーのポップ・スモーク、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ではブルース・リーを演じたマイク・モー、『スカイライン-奪還-』のパメリン・チーらが脇を固める
アメリカでは2021年3月に公開されたが、日本公開は今のところ未定

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