このサイトの割合的に海外ネタが多いのですが、実は邦画も同じ量観ているのです!!
油断していると公開から時間が経ってしまって…ってサイクルになってしまうので、それだったら!まとめてレビューしてしまおう!!ということで新しく「邦画滅多切り!」を始めます。
『ヲタクに恋は難しい』
作品情報
隠れ腐女子のOLと重度のゲームオタク(ヲタク)の幼なじみが繰り広げる不器用な恋模様を描き、2018年にはテレビアニメ化もされた人気コミックを実写映画化。高畑充希と山崎賢人を主演に、『今日から俺は!!劇場版』の福田雄一監督がメガホンをとった。26歳OLの桃瀬成海は、転職先の会社で幼なじみの二藤宏嵩と再会する。ルックスが良く仕事もできる宏嵩は、実は重度のゲームヲタク。そして成海もまた、マンガやゲーム、コスプレ、そして何よりBLを愛する腐女子だった。周囲にヲタクだとバレる「ヲタバレ」を恐れている成海は、普段は本性を隠している「隠れ腐女子」だったが、ヲタク仲間の宏嵩の前では本当の自分をさらけ出すことができた。やがて、ヲタク同士ならば快適に付き合えるのではないかという宏嵩の提案もあり、2人は付き合うことになるのだが……。
滅多切り短評
福田組の映画、誇張したヲタクの会話を、離れた視点で見るのはおもしろいということを改めて実感できるという点では、良い作品だと言えるが、ところどころにある、意図が全く不明なミュージカルシーンが寒気を呼んでくる。
果たしてミュージカルにする必要性はあったのだろうか、そんな雑念が邪魔をして、物語に集中できなくなってしまうし、日本映画でミュージカルを取入れて成功したものなんてない気がするのだが…
山崎賢人は同じ福田作品の『斉木楠雄のΨ難』 でみせたクール演技をそのまま今回も引き継いでいるようなキャラクターなのだが、ゲームヲタクって一般人じゃないのか?と思ってしまうのは、私だけだろうか。
プレイしているゲームも『モンスターハンター』や『マリオカート』『バイオハザード』だったりと、一般的なゲームだし、ゲームばかりやってる人は、ヲタクじゃなくても不良やニートにもたくさんいる。
超絶ヲタク同士という設定のはずが、いつの間にか、一般人とヲタクの恋模様にシフトしてしまっている様な感じがしてしまう。
『電車男』みたいに美少女、コスプレ=超ヲタクという時代ではなくなってきていて、今や不良でも『ラブライヴ!』や『アイドル・マスター』を話題に出したりする時代なのだから、ヲタクのハードルというのは、ゆるゆるになっているワケだ。
ひと昔前は美少女だろうが、アメコミ、映画、デザイナーズトイだろうが、フィギュアを集めていること自体がヲタクとされていたが、今では一般生活の中に溶け込んでいる。
日本人のヲタク人口というのは、圧倒的に増殖した中での、コミケの中の会話シーンを観ると、これこそヲタクだよ!と思わされる。やはり別格だ。
無理にヲタク同士の設定にしないで、高畑充希側だけを超絶ヲタクにして、逆電車男パターンでよかった気がするが、原作漫画があるから、そうもいかないのだろう。
ラブストーリーとしては、消化不良な雰囲気のままラストをむかえるが、ヲタクという設定を考慮すると、これはこれでアリ。
橋本環奈同様に、賀来賢人も福田組の印象が強く残り過ぎていて、福田組のドラマでないが、『半沢直樹』も集中できない。
『初恋』
作品情報
鬼才・三池崇史監督が窪田正孝を主演に迎えて描いたオリジナルストーリーで、余命わずかのボクサーが、偶然出会った少女と運命的な恋に落ちる一夜を描いた。天涯孤独の身で類まれな才能を持つ天才ボクサーの葛城レオは、試合でまさかのKO負けを喫し病院へとかつぎこまれた。医師から自分の余命がわずかであるという事実を突きつけられ、自暴自棄になりながら歌舞伎町の街を歩くレオの目に男に追われる少女モニカの姿が飛び込んでくる。ただごとではない様子からレオが反射的にパンチを食らわせた男は、ヤクザと裏で手を組む悪徳刑事・大伴だった。モニカは親の虐待から逃れるため歌舞伎町に流れ着き、ヤクザにとらわれていたという。レオは彼女を救うことを決意するが、その選択はレオがヤクザと大伴から追われる身となることを意味していた。レオ役を窪田、大伴役を大森南朋、モニカ役をオーディションで選ばれた新人の小西桜子がそれぞれ演じるほか、内野聖陽、染谷将太、ベッキー、村上淳、滝藤賢一、ベンガル、塩見三省らが顔をそろえる。
滅多切り短評
ちょっとしたボタンの掛け違いで、思わぬ方向に向かっていってしまうという典型的なアンサンブルドラマという点では、ある一定ラインの安定したおもしろさはある。
しかし、どうも後半に向かうにつれて、雑な部分が目立ってきてしまい、見切り発車で序盤で詰め込んだネタ、海外ウケを狙って詰め込んだネタをとにかく消費していかないといけないという、やっつけ仕事感が出てしまっている。
最近では子供向けテレビ番組の映画版『劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ! 映画になってちょーだいします』なんかも監督していたりして、監督独自の作家性よりも、与えられた仕事をきっちりするようなイメージがあるようにも思える三池だが、三池の作家性は、実は「やっつけ感」なのだ。
そんな三池も今や子供向け作品から、漫画原作映画など見境がない中で、消えかかってきていた、Vシネや独立系作品を多く手掛けていたときの「やっつけ感」が確実に感じられる1本であることは間違いない。
真正面で受け止めると、何やら詰め込み過ぎてパンクしているような感じをするのだが、これが三池作品ということを承知したうえで観ると、「こんなもんでしょ」という優しい目線で観ることができるのではないだろうか。
『ロマンスドール』
作品情報
『百万円と苦虫女』のタナダユキ監督が、自身初のオリジナル小説を自ら監督・脚本を手がけて実写映画化した大人のラブストーリー。美大卒業後、ひょんなことからラブドール製作工場で働き始めた北村哲雄。やがて彼は美人で気立ての良い園子に一目ぼれして結婚するが、自分がラブドール職人であることを園子に隠し続けていた。毎日が平穏に過ぎていく中、哲雄は仕事にのめり込み、園子とは次第にセックスレスになっていく。そんなある日、園子はずっと胸の中に抱えてきた秘密を哲雄に打ち明ける。不器用さと複雑さをあわせ持つ主人公・哲雄を『九月の恋と出会うまで』『キル・ビル』の高橋一生、優しさの中に強さを持つ妻・園子を『長いお別れ』『アズミ・ハルコは行方不明』の蒼井優が演じる。
滅多切り短評
ラブドール、いわゆる「ダッチワイフ」の製作をめぐって展開される人間ドラマを描いた作品ではあるが、アダルトグッズを作っている人たちは、別に変人ではなく、一般的な感覚を持っている人と何ら変わりはない。
しかし、職業がアダルトグッズ関係ということで、決して自慢できるものではないという想いや葛藤、劣等感と妻に対する後ろめたさの中で、単に性処理道具の開発ではなく、完璧なラブドールを製作するという、アーティストとしての風格を表していくというプロセスは、正に芸術品であり、ラブドールということを忘れさせるほど。
妻に起こる悲劇を乗り越えることと、完璧なラブドールを完成させることの着地点が妙にシンクロしていて、どうしてもアダルトグッズという存在がチラついて固定概念が邪魔してくるものの、ひとつの愛のかたちとしては、完成されている。
使用する人がかなり限られる、超限定的な市場の中にある規制やルールという点で、知らなかった世界を知れたということは、勉強になる部分もあったりするのだが、公開された時期が時期だけに、ピエール瀧の演じる社長が逮捕されるシーンは、なんだか生々しい。
『犬鳴村』
作品情報
「呪怨」シリーズなどで知られるホラー映画の名手・清水崇監督が、福岡県に実在する心霊スポットを舞台に描くホラー。主演は『ダンス・ウィズ・ミー』の三吉彩花。臨床心理士の森田奏の周辺で奇妙な出来事が次々と起こりだし、その全てに共通するキーワードとして、心霊スポットとして知られる「犬鳴トンネル」が浮上する。突然死したある女性は、最後に「トンネルを抜けた先に村があって、そこで○○を見た……」という言葉を残していたが、女性が村で目撃したものとは一体なんだったのか。連続する不可解な出来事の真相を突き止めるため、奏は犬鳴トンネルへと向かうが……。主人公の奏役を三吉が演じ、坂東龍汰、大谷凛香、古川毅、奥菜恵、寺田農、石橋蓮司、高嶋政伸、高島礼子らが脇を固める。
滅多切り短評
村を舞台にした、恐怖シリーズを製作していくという「村」シリーズ第一弾となる本作。
日本でもアメリカでも、村や田舎というのは、只ならぬ雰囲気がある場所であり、昔から使い古されてきたホラー映画の舞台であるが、今や呪われた場所や心霊スポットというのは、YouTubeやSNSのネタにされているという、現実があり、それに対して警鐘を鳴らしたような入り口である。
『シライサン』もSNSを皮肉ったような内容であったが、ホラー界もネット文化の波によってアップデートされてきているのだろう。
正直言って、ホラー映画として何にも怖いシーンがない。それなのに、更に怖いシーンを隠して、怖いシーンには、可愛いキャラクターが登場して観えないようにするという、カオス過ぎてある意味、そっちの方が怖い「恐怖回避ばーじょん」というのが存在しているのだが、単純に怖くもないのに、そこさえも隠されてしまったら、ただの薄っぺらい物語を真正面から受け止めるしかなくなってしまうと思うのだが、どうなのだろうか。
理解に苦しむシーンや展開、設定も多く、大人が真面目に観る映画ではない。中学生ぐらいまでなら怖いと感じられるのではないだろうか。
『スペシャルアクターズ』
作品情報
『カメラを止めるな!』で社会現象を巻き起こした上田慎一郎監督の劇場長編第2弾。プロアマ問わず1500人のオーディションから選ばれた15人のキャストが出演し、脚本は「カメ止め」同様に上田監督がキャストたちのあて書きで執筆した。役者としてまったく芽が出ない和人は数年ぶりに再会した弟から俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に誘われる。その事務所は映画やドラマといった仕事以外に、日常で演じることを要求される仕事も請け負う、何でも屋的な側面を持っていた。そんな中、カルト集団から旅館を守ってほしいという依頼がスペアクに飛び込んでくる。スペアクの役者たちは、旅館乗っ取りをもくろむ集団への対策のために計画を練り、演技の練習を重ねていく。和人はこのミッションの中心メンバーとなるが、彼には誰にも話していない秘密があった。それは緊張が極限まで達すると気絶してしまうというものだった。
滅多切り短評
『カメラを止めるな!』がヒットした理由としては、地味なキャストで、パッケージ的にどんでん返しされると思っていなかったという意外性からなのだが、それを流石に2度(イソップの思うツボを含めると3度)やって、同じ衝撃を観客にあたえるというのは難しい。
オーディションで出演者を決めたらしいが、ここまでオーラがない俳優を集めるのも逆に難しい気もする。地味で普通感を全体の雰囲気として漂わせるという点では前回以上に成功しているかもしれない。
しかし、前作のテイストやネタの散りばめ方を知ってしまっている状態で観てしまうと、結局どんでん返しがくるのだろうという疑い意識が芽生えてしまっていて、後半畳みかけるような、どんでん返しの連続展開も逆にベタに感じてしまい、「でしょうね」としか思えなくなってしまっているし、それは制作サイドも承知のうえで、もう一段階超えてみせてくれれば、凄いと思えたが、どうも設定だけ変えているだけで、同じことの繰り返しにしか思えない。
ヒットしたものに縋る気持ちも、周りがそれを求めているのではないかというプレッシャーも十分に理解できるが、次回作はこのテイストから一旦、離れないことには、監督としての成長は難しいだろう。
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