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この映画語らせて!ズバッと評論!!『今日から俺は!!劇場版』映画だからと力を入れるべき部分はソコだろうか...

この映画語らせて!ズバッと評論!!『今日から俺は!!劇場版』映画だからと力を入れるべき部分はソコだろうか...

作品情報

西森博之の人気漫画を賀来賢人と伊藤健太郎の共演、福田雄一監督の演出・脚本で新たに実写化し、2018年に放送されて人気を博したテレビドラマの映画版。賀来、伊藤、清野菜名、橋本環奈らドラマ版キャストに加え、柳楽優弥、山本舞香らが出演し、原作でも人気の高いエピソード「北根壊(ほくねい)編」が描かれる。1980年代の軟葉高校。転校を機につっぱりデビューした2年生の三橋貴志と同じ日に転校してきたトゲトゲ頭の伊藤真司は、コンビを組んで次々とやってくる強敵を返り討ちにしていく毎日を送っていた。3年になったある日、かつて壮絶な戦いを繰り広げた不良の巣窟・開久高校の一角を隣町の北根壊高校が間借りすることになった。極悪高校で名の通った北根壊の番長・柳鋭次と大嶽重弘は、智司と相良という「頭」を失った開久の生徒たち相手に妙な商売を始める。一方その頃、怪しいスケバン・涼子が今井に近づこうとしていた。

『今日から俺は!!劇場版』レビュー

原作漫画やアニメ版は観ていないが、先日放送されたテレビスペシャル含め、テレビ放送時のリアルタイムとHuluの未公開シーン復活版で合計2周しているから、あくまでドラマ版だけを比較したレビューとなるが、舞台としてはドラマ版最終回の少し後が描かれている。

お馴染みのキャラクター達の掛け合いや、三橋と今井の絡みもドラマと同様に楽しい部分も多い作品で、新キャラクター達も魅力的である。

ドラマ版はギャグ要素が強かったし、今作もそうなのだが、劇場版にするにあたってアクションシーンが強調されていて、高校時代にアクション養成所に通っていた清野菜名のアクションシーンもドラマ版よりも盛り込まれているが、果たしてドラマファンが観たいところはそこだろうか?

原作の不良漫画とギャグの中間的要素をギャグ要素強めに、福田組要素全開にしたのがドラマ版であり、今作はそのドラマ版の延長線の作品を観たい人が多いのだから、増すべき部分はアクションよりもギャグ要素ではないだろうか。

変に「映画だから」と意識してしまったのだろうか、その心意気が悪い方向に向いてしまっている気がしてならないし、話の組み立て方や編集に少し荒が目立っていて、最終決戦までのテンポが悪い。

真面目にしたいのか、ギャグ映画にしたいのかが、いまいち定まってないことがテンポの悪さを生んでしまっているのだろう。

佐藤二朗のギャグパートも、余韻からの俳優達が思わず笑ってしまうのを必死にごまかそうと、別の方向を向いて、笑いをこらえるという一連の流れがカットされてしまっていて、ただ寒いギャグのようにされてしまっていることには、佐藤二朗が可哀そうに思える。

映画として、そんな長い尺をカットするのは正解でも福田版『今日から俺は!!』としてはやってもよかったのではないだろうか。

真正面から立ち向かう伊藤に対して、卑怯な方法で決着をつける三橋とのタッグが見せ場のはずが、最終決戦での三橋が直球戦というのも違和感が残る。ある程度決着がつきそうになってから登場することが卑怯となっているのかもしれないが、物足りない。

不良アクション映画であれば正解だと思うが、あくまでギャグが売りなわけだから、決着のつけ方には、もう一工夫してもらいたいところだ。

伊藤が弱くなっているのか、片桐が強くなっているのかは不明だが、ドラマ版では伊藤と片桐は互角のようなパワーバランスだった。そんな伊藤が歯が立たなかった大嶽を片桐が圧倒し、大きなダメージを与えた後で伊藤が倒しただけのようにしか見えずスッキリしない。その点では伊藤も卑怯化しているのか?

脈略もなく参戦してくる佐川率いる軟葉高校不良軍団と不良同士のいざこざには、自分からは頭を突っ込まないはずの理子が進んで参加してくるという不自然な展開も画づらを良くみせたいというご都合主義が働いているようで違和感を残す。

実際問題として、ドラマの映画版というのは、難しい点が多いというのが相場だったりもするが、今作も残念ながらその型にはまってしまったといえるだろう。

映画版よりもドラマのシーズン2を作ってもらいたいと思っている人の方が多いのだはないだろうか。

点数 72点

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