作品情報
ニューヨークでバーを経営するボスのもとに、タイで暮らすウードから数年ぶりに電話が入る。白血病で余命宣告を受けたので、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。バンコクに駆けつけたボスが頼まれたのは、元カノたちを訪ねる旅の運転手。カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲が、二人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。かつて輝いていた恋への心残りに決着をつけ、ボスのオリジナルカクテルで、この旅を仕上げるはずだった。だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える〈ある秘密〉を打ち明ける──。
『プアン/友だちと呼ばせて』レビュー

ウォン・カーウァイのラブコールで実現した、どこかに置いてきてしまった大切なものを取り戻しに行くロードムービー。
ウォン・カーウァイといっても『マイ・ブルーベリー・ナイツ』や『ブエノス・アイレス』などの、小じゃれた感じで外国ナイズされた後期作品色が強く、それが現代の若手監督のテイストにマッチしていて、シックな雰囲気の中に若々しさも感じさせる、DNAを受け継いだ新世代の作品というのが色濃く出ている。
それによって、タイ映画だということをあまり感じさせないインターナショナルな雰囲気漂う作品となっている。
人間は人生の中で、何人の人と出会い、その中で大切な人は何人いるだろうか。エルトン・ジョン、フランク・シナトラ、キャット・スティーヴンスなどの音楽とお酒が、そんな思い出をフラッシュバックさせながら、同時に”今”も描いていく。世代もジャンルもバラバラな音楽には意味があって、それは主人公たちの趣味というより、思い出の瞬間にラジオから流れていた曲だからだ。
常に聴いていた曲というより、突発的に聴いた曲だからこそ、記憶を呼び起こすトリガーとして機能している。
余命宣告を受けた親友ウードの元恋人たちに会う旅に付き合うはずが、その旅がボスの記憶にもリンクし、共通する記憶の終着点に向かっていく。
ウードにはモデルが存在している。それはバズ・プーンピリアが今作の脚本を書き上げるためにグループセラピーなどに通ったのだが、一番影響されたのは ニューヨークに住んでいた時代の友人ロイドだ。
ロイドもウードと同じく余命宣告を受けており、今作はバズのロイドへの想いも反映されているからこそ、より繊細な人間ドラマが構築されているのだ。
点数 79

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