作品情報
SNSの裏アカウントを通して出会う男女の姿を通し、現代に生きる者が抱える葛藤や欲望を赤裸々に描いた人間ドラマ。「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015」で準グランプリを受賞した作品企画をもとに、加藤卓哉監督が初メガホンをとった。青山のアパレルショップで店長を務める真知子は、どこか満たされない日々を送っていた。ある日、彼女は年下のカリスマ店員・さやかの何気ない言葉がきっかけでSNSの裏アカウントを作り、胸元の際どい写真を投稿する。表の世界では得られない反応に快感を覚えた真知子の投稿は過激さを増していき、やがてフォロワーの1人と会うことに。その相手は「ゆーと」という年下の男性で、真知子は自分と同じように心の乾きを持つ彼にひかれていく。『火口のふたり』の瀧内公美が主演を務め、『うちの執事が言うことには』の神尾楓珠が相手役を演じる。 。
『裏アカ』レビュー

今まで『哀愁しんでれら』『ゴーストマスター』など何気に全部観ている「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM」の作品の中としては、個人的にベスト1な作品。ただし、全体的に基準が低い。
今作、良くも悪くも普及し過ぎてしまったSNSに警鐘を鳴らす目的という、単純な観方をしてしまうと失敗する作品である。
実は古典的な「昼ドラ」的解釈が必要となってくる作品であるため、東海テレビ制作「昼ドラ」を知らない世代は、なかなか理解できない点が多いのかもしれない。
小学生の頃からドロドロな昼ドラを好んで観ていた私にとって、決して交わらない感情の中でも求めようとする2人の物語に共感はできないかもしれないが、気持ちは伝わってきた。
肉体的には交わったとしても、気持ち的に交わうことはない男女。
先がない、意味がいかもしれない、無意味でもいいから今はこうしていたい。
シンプルな恋愛感情とは全く違った、憎んでいるはずの相手にそれを求めてしまう「昼ドラ」的感覚がわからないと、主人公たちの行動に共感ができず、正直楽しめないかもしれない。
自分の何気ない日常よりも際どい投稿の方がバズるし、一時は人生も潤っているように感じるかもしれないが、そこには大きなリスクがある。そんな分かりきっているはずのことが、焦りと自信のなさが引き起こしてしまうというのは、SNSでなくても、あり得ることだ。
SNSというのは、今作の物語を描くにあたって、ひとつのツールでしかなく、描いていることは、実は現代人が抱える、人生に意味が見いだせないドライな世代とロマンチックな恋をしたいと夢見ている20代後半~30代との恋愛世代間ギャップを描いた側面もある。
『火口のふたり』『彼女の人生は間違いじゃない』もそうだが、瀧内公美が主演だと、どうしても脱いでるイメージがしてしまう。
だからこそのキャスティングだと思うが…
体当たり演技という点では勇気のある女優であるが、なんだかそのキャラクターイメージこそが作品の質を良くも悪くも壊してしまっていて、ピンク感が強くなってしまうのが難点。
際どい濡れ場を演じる有名女優もいるが、今作においては、ちょっとあからさま過ぎて、作品の本質がブレてしまう。
「昼ドラ」も事細かく描くと、それこそピンク映画になってしまうところを感覚的に描きながらも、バランスを保てているだけに、描けないことはない。ときには『幸せの時間』といった攻めた作品が世間を騒がせたが…
瀧内公美は純粋に演技の上手い女優であるし、普段の笑顔と裏の悲しさとのアクセントの表現が抜群なだけに、セクシー女優でもない彼女がここまでやっていいのかとも思ってしまう。
満たされない気持ちが「愛」なのか「怒り」なのか、「悲しみ」なのかという繊細な部分がピンク感によって消されてしまっている気がする。
ただ、ロマンポルノと「昼ドラ」の中間、テレビというレーティングでは表現できない「昼ドラ」という解釈では新境地とも言えるのかもしれない。

点数 74
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