作品情報
謎の感染症に長い間対処し続けてきた台湾。専門家たちに“アルヴィン”と名付けられたそのウイルスは、風邪のような軽微な症状しか伴わず、不自由な生活に不満を持つ人々の警戒はいつしか解けてしまっていた。ある日、ウイルスが突然変異し、人の脳に作用して凶暴性を助長する疫病が発生。感染者たちは罪悪感に涙を流しながらも、衝動を抑えられず思いつく限りの残虐な行為を行うようになり、街は殺人と拷問で溢れかえってしまう。そんな暴力に支配された世界で離ればなれとなり、生きて再会を果たそうとする男女の姿があった。感染者の殺意から辛うじて逃れ、数少ない生き残りと病院に立て籠もるカイティン。彼女からの連絡を受け取ったジュンジョーは、独りで狂気の街を彷徨い始める。
『哭悲/THE SADNESS』レビュー
台湾発の血塗れゴアゴア祭りな映画が日本上陸。
同じく7月公開の『X エックス』や、日本でいうと『真・事故物件/本当に怖い住民たち』と同じく、70・80年代のホラー愛が詰まった作品となっている。
謎の感染症は、明らかに新型コロナのメタファーではあるし、極度な中国批判も含まれている作品で、社会派と言えばそうなのかもしれないが、そんなテーマ性など見えなくなってしまうぐらいに、とにかく血がドバドバと豪快に噴き出す。
予告にも登場する電車の中のおじさんが、感染する前から気持ち悪いし、感染した後は言葉ではい表せないような変態な恐怖をまとって襲いかかってくる。
なんで考え付いたのかと思うし、考えたとしても撮影したくないほどに、悪趣味すぎる強姦シーンは映画史上に残るショッキングなシーンだといえるだろう。
ゾンビものでは、お決まりの極限の状況下において人間の本性が浮き彫りになるといった、心理描写もばっちり描かれていて、王道といえば王道に間違いないのだが、ネタの豊富さと、悪趣味な演出の数々が、今作を究極のゲテモノ映画へと進化させている。
監督のロブ・ジャバズが今回が長編映画初監督となるが、どうやら……というか映画を観ていたらわかるが、B級ホラーオタクであることは間違いない。
『ディアスキン 鹿革の殺人鬼』のカンタン・デュピューがタランティーノに憧れて、一時期クエンティン・デュピューと名乗っていたように、ロブ・ジャバズも名前の由来はロブ・ゾンビからきているような気がしてならない。
点数 80
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