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この映画語らせて!ズバッと評論!!『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』南アフリカだけに限らず、動物をビジネスとして扱うことへの代償を描く!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』南アフリカだけに限らず、動物をビジネスとして扱うことへの代償を描く!!

作品情報

少女とホワイトライオンの友情、そして家族の再生を通し、南アフリカで社会問題となっているトロフィー・ハンティングの一種“缶詰狩り”を描いたドラマ。ライオンファーム経営のため家族で南アフリカに移住した11歳のミアは、心の病を抱える兄にかかりきりの母と仕事に追われる父のもとで、孤独な日々を過ごしていた。クリスマスの日、ファームにホワイトライオンのチャーリーが誕生する。ミアはチャーリーの世話をしながら共に成長するうちに、特別な友情で結ばれていく。3年が経ったある日、ミアは父がファームで育てたライオンを、囲いの中で野生動物を狩る“缶詰狩り”の業者に売っていたことを知る。ミアはチャーリーを救うため、様々な危険に立ち向かいながらティムババティ野生保護区を目指すが……。3年以上の年月をかけて撮影を敢行し、少女とライオンのリアルな関係性や、南アフリカの大自然をCGなしで描いた。オーディションで選ばれたダニア・デ・ビラーズが主演を務め、母親役に『オーケストラ!』『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン。監督は『アラン・デュカス 宮廷のレストラン』など多くのドキュメンタリーを手がけたジル・ド・メストル。

『ミアとホワイトライオン 奇跡の1300日』レビュー

『プルミエール 私たちの出産』『アラン・デュカス 宮廷のレストラン』などのドキュメンタリー作家として知られるジル・ド・メストルによる劇映画ではあるが、ドキュメンタリー的側面もある作品である。

というのも、ホワイトライオンと主人公の少女ミアを演じるダニア・デ・ヴィラーズが実際に長い期間、一緒の時間を過ごしたことで、そこには演技では越えられない、本物の友情や絆を描き出すことに成功しているのだ。

今作の中で描かれる約4年間は紛れもなく本物であり、ライオンが成長すると同時に、ダニアの成長も描き出している。

ミーアキャットとイボイノシシが一緒にいて、『ライオン・キング』のリアルティモンとプンバァのシーンがあるなど、ユーモアも忘れてはいない。

人間と動物の絆を描いた、感動大作というのは、今までに数多くあり、ライオンやトラといった猛獣もあれば、犬や猫、鳥といった身近な動物を対象としても、多く存在しているが、どうしても劇映画的に演出された作り物感が出てしまう。

しかし、今作は全体的な物語はフィクションではあるのだが、このライオンにして、この女優だからこそできた表現というのは、間違いなく多く存在している映画である。

ミアの両親が経営しているファームにいる動物たちは、慈善事業として保護されているわけではない。

ビジネスとして、動物たちを売っているのだ。

動物園、サーカス、タレント動物として、人間のエゴや欲求によって売買されていく動物たち。

ゴシップ誌は好まれても、ゴシップ記者が嫌われると同じように、偽善的倫理観の中では、動物をビジネス利用していると聞くと、何だか悪質だったり、グレーな印象に受け取られがちではあるが、動物園の需要、ペットを飼うということの需要、ビジュアル的に楽しむ需要、この映画自体もその需要のひとつであり、需要があるからこそ成り立っているビジネスであるのだ。

ライオンとミアの絆もその先は、どこかに売られてしまうという現実。

ビジネスとしてみれば、ライオンや他の動物もひとつの物でしかないのかもしれない。

しかし、ミアにとっては親友であるため、親友が売り飛ばされるというのは、よくある野性動物ものの、自然に戻されることでの別れが最終着地点というスタンスのものとは全然違うのだ。

更に描かれるのは、南アフリカで合法的にまかり通っているトロフィー・ハンティングという娯楽として動物を殺すビジネスの問題だ。

近年、一部のハンティング愛好家によって、銃やクロスボウによって射殺された動物の死体と一緒に記念撮影したものがSNSなどに投稿されて、物議を呼んでいる。

親友がどうなるかわからない、最悪の場合、トロフィー・ハンティングの獲物にされてしまうかもしれないと思うと、いてもたってもいられないミアの感情は痛いほど伝わってくる。

少女の観点からの、親友が危険性のある猛獣や単なるビジネスの道具としてしか見られていない、「私だけは助けてあげないといけない」という想いが心をうつと同時に、人間のエゴでビジネスとして売買される動物の実態を浮き彫りにし、皮肉にもこの映画自体も、メッセージを届けるとはいっても、動物ビジネスであるという現実を受け入れなければならないということを提示した社会派作品である。

これはドキュメンタリー作家であるからこその視点だともいえるだろう。

点数 85

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