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第38回東京国際映画祭作品レビュー:07:『ドリームズ』

作品情報

監督/脚本/編集/プロデューサー:ミシェル・フランコ

撮影監督:イヴ・カペ

エグゼクティブ・プロデューサー:ジェシカ・チャステイン

編集:オスカル・フィゲロア・ハラ

出演:ジェシカ・チャステイン

イサック・エルナンデス

ルパート・フレンド

98分/カラー/スペイン語、英語/2025年/メキシコ、アメリカ

【ストーリー】

アメリカで成功することを夢見るメキシコ人バレエダンサーのフェルナンドは、慈善活動に携わる富裕なアメリカ人女性ジェニファーと恋愛関係になる。フェルナンドは危険を冒して国境を越え、アメリカへの移住という夢を果たす。だが、人種も社会階層も異なるフェルナンドの存在は、ジェニファーがこれまで属していた世界を大きく揺さぶることになる…。

『あの歌を憶えている』(2023)に続き、ミシェル・フランコがジェシカ・チャステインと再タッグを組んだ作品。

ミシェルといえば、貧富の格差に対する抗議運動が暴動と化た様をディストピアのように描いた、スリラー映画『ニューオーダー』(2020)を観てもわかる通り、富裕層に対して、何かしらの疑念をもっている監督であることがわかるし、TIFFで過去に『市民』というタイトルで上映され、のちに一般公開された『母の聖戦』や『』(共に2021)にもプロデューサーとして参加していたように、メキシコの暗部を描くことが得意なクリエイターだ。そして今作も、そんなミシェルのシニカルな視点を十二分に活かしたものとなっている。

冒頭で目的も不明で、あるのかもわからない砂漠のオアシスを求めているかのように、さまよい続ける男フェルナンデスの姿が映し出され、ある家にたどり着く。そこは慈善活動をしている富裕層ジェニファーの家だった。

このふたりは恋愛関係にあり、磁石のようにふたりは離れることができないが、フェルナンドはアメリカでは不法移民。富裕層と年の離れた不法移民青年が一緒にいるのは目立ちすぎてしまうことから、隠れながら愛を交わす、スリリングな恋愛映画……に思えるし、前半ではその側面も強いのだが、少しずつ雲行きが怪しくなっていく。

フェルナンドは本気でジェニファーを愛していて、対等な人間として見ているのに対して、ジェニファーにとってフェルナンドに対する感情は、愛といえば愛だし、思いやりやバレエダンサーとしての才能を認める感情も確かにあるのだが、そこには若干、富裕層であることから、持っている権力によって押さえつけようとする、性奴隷、ペット的な支配欲も混ざっている。そして、それがあることがきっかけで、表に出てきてしまう。

純粋なものだと信頼していた愛が裏切られ、狂気に代わる様と、「こんなにしてあげているのだから、もっと従いなさい!!」といった、愛がパワハラに変化する様といった、それぞれの愛のかたちをぶつけ合いながら、ひとつの恋愛関係の破局のように富裕層の偽善性を浮き彫りにしていくのだ。

総合評価:80点

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