作品情報
南米コロンビアが舞台の本作は、監督が初めてタイ国外で制作した作品。ポン・ジュノ、ルカ・グァダニーノ、ウェス・アンダーソンら名監督とのタッグでも知られるティルダ・スウィントン、『バルバラ セーヌの黒いバラ』でセザール賞主演女優賞を受賞したジャンヌ・バリバールら世界的に活躍する俳優陣に加え、コロンビアのTVシリーズなどで活躍するエルキン・ディアス、メキシコのアカデミー賞ことアリエル賞を受賞したダニエル・ヒメネス・カチョらをキャストに迎
えた本作は、第94回アカデミー賞国際長編映画賞コロンビア代表に選出された。
『MEMORIA メモリア』レビュー

ある時から、何かが爆発したような衝撃音が頭から離れなくなってしまうジェシカ。それがいったい何の”音”なのかを、探求していく物語だ。
ティルダと音の探求といえば、ティルダがナレーションを務めた、ヨハン・ヨハンソン監督作品『最後にして最初の人類』でも、音がもたらす神秘的な物語が描かれていたこともあって、音の探求をティルダがしているということに、妙な説得力があるのだ。
探求していく様子は、ドキュメンタリー的な構造ともなっており、私たちが今まで体験したことがないほど、音に対して改めて向き合うということになる。
何かが落ちたり、何かが破裂したりといった物質的な音だったり、雨や風などの自然的な音、もしくは音楽という人間によって、意図的に奏でられる音……といった様々な音を探求することで、衝撃音の正体を探っていく。
ただ音を楽しむ、体験型作品かと思っていると、結末としては、『メッセージ』のようなSF的なものとなっていく。
おそらくジェシカは、ある日、地球の音(あるいは声)を受信するアンテナもしくは、チューナーやプレーヤーといった存在に選ばれたことによって、その音の正体にたどり着くことこそが、彼女がそれに相応しい器かを試されていたのだと、私は解釈した。
実験的な作品ではあるし、その試みもおもしろいのだが、正直言って万人受けするような作品ではないし、一定時間静かになるシーンなどもあって、睡眠不足で観るには、かなり危険な作品だといえるだろう。
観客側としては、眠らずに集中して観ていられるかこそが試練であって、観ていられた者だけが真実にたどり着けるというメタ的なものも含まれているような気もした……
点数 79



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