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アメコミ特集:アメコミになった日本のアニメ・特撮たち『科学忍者隊ガッチャマン』『百獣王ゴライオン』『超時空要塞マクロス』の場合

アメコミ特集:アメコミになった日本のアニメ・特撮たち『科学忍者隊ガッチャマン』『百獣王ゴライオン』『超時空要塞マクロス』の場合

日本の漫画やアニメは1960年代から様々な国に輸出されてきた。

その中には、国の需要に合わせて、独自の発展を遂げていった作品も多く、その歴史を知り、改めてアニメや特撮を観ることで、新たな楽しみ方を発見できるかもしれない。

今回はアメコミ化され、さらにハリウッドで現在進行形の映画化企画のある3作を紹介していこう。

〇『科学忍者隊ガッチャマン』の場合

1960年代より、『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』など、日本のアニメは定期的にアメリカで放送されてきている。

特に『マッハGoGoGo』はアメリカで国民的人気作となったことで、コミック化もされた。

1993年と2008年には、アメリカオリジナルアニメまで制作され、実写化もされた。

タツノコプロの60-70年代のアニメは、『新造人間キャシャーン』や『破裏拳ポリマー』といったアメコミルックに近いアクションヒーロー作品が多かったこともあり、受け入れられやすかったというのも理由のひとつかもしれない。

その証拠に、『みなしごハッチ』『けろっこデメタン』のようなデフォルメされたものや、日本独特のギャグが多く使用されている「タイムボカン」シリーズはあまり定着しなかった。

タツノコ作品の中で『マッハGoGoGo』の次に人気を博したのが、1978年にアメリカでも放送開始された『科学忍者隊ガッチャマン』は、『スター・ウォーズ』の成功の影響もあり、宇宙要素を強調するかたちで「Battle of the Planets」というタイトルで展開された。

翌年には『スタートレック』や『ミッキー・マウス』など既存のキャラクターやテレビドラマなどのコミカライズを多く手掛けていた「Gold Key Comics」によってコミックシリーズ化され、2002年からは『ウォーキング・デッド』や『スポーン』などで知られるイメージコミックスから派生した「Top Cow Productions」からシリーズが再開。同じ「Top Cow Productions」の作品『ウィッチブレイド』や『サンダーキャッツ』とも共演を果たした。

2019年には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』を手掛けたジョー&アンソニー・ルッソ兄弟が映画製作を発表し、単発ではなく、配信ドラマなども含むユニバース化も視野に入れていることからも、新たな「ガッチャマン」ブームがまた巻き起ころうとしている。

〇『百獣王ゴライオン』の場合

80年代に入ると、70年代後半から東映とマーベルの業務提携によって誕生した「ショーグン・ウォリアーズ」や「トランスフォーマー」などのロボットヒーローが人気となり、同時期にバンダイもアメリカ市場向けに『太陽戦隊サンバルカン』のサンバルカンロボや『百獣王ゴライオン』のゴライオンなどの超合金ロボを集めた「ゴダイキン」という玩具シリーズが発売された。

「ゴダイキン」や他のロボット玩具を売ろうと『百獣王ゴライオン』『機甲艦隊ダイラガーXV』を再編集した「ヴォルトロン」シリーズの放送が1984年から開始。

劇中で両シリーズが共演をするわけではなく、第1シリーズ、第2シリーズといったように、ひとつのロボットアニメブランドとして展開していたが、ファンの要望もあって、1986年には、東映アニメーションに委託するかたちでアメリカオリジナルのテレビスペシャル「Voltron: Fleet of Doom」が放送された。

本来は第3シリーズとして『光速電神アルベガス』を放送する予定で権利を獲ていたこともあって、「Voltron: Fleet of Doom」には、アルベガスも登場する。

中でもゴライオンが人気となり、ヴォルトロンはゴライオンのデザインをベースとして、何度もアニメ化され、2016年にはNetflixで新作が配信された。

コミックとしては、Modern Comicsが1985年に単発作品として出版し、その後「Devil’s Due Publishing」「Dynamite Entertainment」などでもコミックシリーズが展開されており、現在は「Lion Forge Comics」から出版されている。

ちなみに「ゴダイキン」のラインナップの中にあった、『超電子バイオマン』のアメリカ放送もしくは、リメイクもギリギリまで検討されたが、実現には至らなかったことで、アメリカには、バイオマンは知らなくても、バイオロボを知っている人がいるという不思議な状況も生んだ。

〇『時空要塞マクロス』の場合

「ヴォルトロン」同様に、ロボットヒーローとアニメブームを受けて、バンダイ以外にも便乗した企業は多く、戦車や航空機などの模型玩具メーカー「レベル社」も同様であった。

イマイやタカラといった日本の模型会社の製品したロボットプラモデルを輸入する際に「ロボテック」というシリーズとして展開させることになり、販売に先駆けて知名度を獲るために、「トランスフォーマー」がマーベルだったのに対して、「バットマン」「スーパーマン」などで知られるDCコミックスによって、1984年に『超時空要塞マクロス』『超時空世紀オーガス』『太陽の牙ダグラム』などに登場するロボットが登場するオリジナル作品「ロボテック:ディフェンダーズ」が単発シリーズとして出版することになった。

残念ながらこのコミックシリーズとプラモデルは、あまりアメリカではヒットしなかったが、コミックシリーズとして、コミコ社がその後も展開させていくことになる。

積極的に日本のアニメを輸入していたテレビ番組製作・配給会社ハーモニーゴールド USAがタツノコプロから権利を獲得して、『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』と「超時空」シリーズの2作目『超時空世紀オーガス』はタツノコプロではなく、東京ムービーの作品であることから省かれて、代りに『機甲創世記モスピーダ』をシリーズとして編集した「ロボテック」が1985年にスタートしたことも後押しして、「ロボテック」シリーズもまた、「ヴォルトロン」に並ぶロボットヒーローコミックとして定着することになった。

その後、何度もコミック化の権利が他社にたらい回し状態になったり、日本でも「マクロス」を巡っての訴訟騒ぎがあったりで、なかなか落ち着きをみせないシリーズではあるものの、現在も継続的な人気を誇っている。

2007年に公開された映画『トランスフォーマー』の成功を受けて、「ミクロマン」や「ヴォルトロン」など日本のおもちゃやロボットを下敷きとした、実写映画化企画が数多く発表され、この「ロボテック」も同様に製作が発表されたが、こちらもコミック同様に企画がたらい回し状態で、現在はソニー・ピクチャーズが映画化権を保持しているとされている。

ちなみに80年代といえば『機動戦士ガンダム』も全盛期ではあったものの、ロボットアニメというよりも、戦争色が強く、巨大ロボではないことから、アジア圏での人気と比べると、アメリカではあまり定着しなかった。

現在は動画配信なども普及したことで、以前と比べれば知名度は高くはなったものの、ガンダム人気はそれほど高くない。

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