作品情報
イタリアの小さな町に暮らすモロッコ人少女の9歳から14歳までに至る5年間をドキュメンタリー・タッチの映像で描く。ドキュメンタリー監督カッシゴリ&カウフマン初の劇映画。
『カリフォルニエ』レビュー

ドキュメンタリー作家の監督コンビによる初の劇映画ではあるが、オリンピックにも出場したイタリア初の女性ボクサー、イルマ・テスタを追ったドキュメンタリー『Butterfly』を手掛けている最中に、たまたまボクシングジムで出会った少女ジャミラを主人公としているため、半ドキュメンタリー作品となっている。
両親の出稼ぎによって、モロッコからイタリアの小さな町に移住してきた家族の中で、ジャミラの視点から、9歳から14歳までの5年間を描いている。
見知らぬ地にやってきて、周りに溶け込めず、当初はモロッコに帰ることを願っていたが、イタリアの地に慣れて、美容師としての仕事もはじめるなど、帰省意欲というのは、徐々に失われていった。
実際に父親がモロッコで仕事を見つけた際も、ジャミラどころか、家族は誰も付いていかない。新しい地で築いたものが、いつしか自分の日常になっていたのだ。
劇中では直接的には描かれていなかったが、モロッコという国は、イスラム教によって成り立っている国である。いかに男性社会であるかは『モロッコ、彼女たちの朝』の中でも描かれていた。
ジャミラも成長するに従って、周りの10代と同じようにスマホを持ち、インスタやYouTubeを使いこなす現代女子らしくなっていく。貧しくてもオープンなイタリアの町の方が、宗教に抑圧された環境に戻るよりもよかったのかもしれない。
多くを語らずジャミラの行動や表情から、ドラマ性が浮かんでくる画作りは、ドキュメンタリー作家ならではの技量に思える。モロッコから移民問題や宗教的な要素といった社会問題からの視点はほぼ描かれず、ジャミラという少女の姿を映し出すことで、人間はどの国でも同じだと感じさせる。
カリフォルニエというのは、ジャミラが働いている美容院の名前。本当はカルフォルニアにしたかったが、看板業者のミスでカリフォルニエになったことに由来する。
ジャミラにとって自分の居場所は、モロッコでもイタリアでもなく、カリフォルニエなのだ。
点数 82
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