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この映画語らせて!ズバッと評論!!第34回東京国際映画祭SP『オマージュ』韓国における女性監督の歴史を探求していくことで見えてくるものとは……

この映画語らせて!ズバッと評論!!第34回東京国際映画祭SP『オマージュ』韓国における女性監督の歴史を探求していくことで見えてくるものとは……

作品情報

仕事に行き詰まった韓国の女性映画監督が映画の修復の仕事を依頼される。その作業は自国の女性映画監督が辿った苦難な道のりを明らかにする。『パラサイト』(19)のイ・ジョンウンが主演。

『オマージュ』レビュー

韓国において史上初の女性映画監督は、当時の子供をおぶって監督をしていた姿の写真が印象的な『未亡人』のパク・ナモクであるが、2番目とされるのが、ホン・ウンウォンである。

今まで3本の映画を制作してきたものの、どれもあまり評価されず、自分の才能にも不安を感じ、仕事にも行き詰っている現代の女性監督ジワンが主人公である。

妻であり、親でもあり、女性であるということを理由として、男社会の韓国、韓国の映画界への不満をひしひし感じているジワンだが、ホン・ウンウォンの『女判事』の修復を頼まれ、韓国における女性監督のルーツを探求していくことで、検閲によって原型がなくなるほどカットされた内容や、男性至上主義的な展開や結末を強いられた事実を通して今に繋がること、今も変わらない女性現状を浮き彫りにしていく。

韓国においての女性蔑視は、近年でも『はちどり』『82年生まれ、キム・ジヨン』『野球少女』といった作品で、直接的なものもあれば、感覚的にも描かれる作品も多くなってきたが、そんな現在よりも圧倒的に過酷だった環境下においても自分の作品を世に残そうと奮闘した「映画人」としての姿を知っていくことで、ジワンの意識も、環境や現状を盾にすることではなく、それを受け入れたうえで、現状を変えようと自身も歯車の一部になりたいと考えるように、次第に「映画人」としての意識に変化していく。

ところが自分の意識とは別に、女性ならではの身体構造の変化もジワンを襲うこともあり、様々な角度から現代社会においての「女性」の立ち位置を描いた今作ではあるが、時代や国が悪いとも言い切っておらず、その現状に諦めて、いつしかそれを言い訳にしているのではないかという、韓国女性に対してのメッセージも含まれているように感じられた。

ジワンを演じているイ・ジョンウォンが今作の監督のシン・スウォンに似ていることからも、ジワンのモデルは明らかに監督自身だ。

映画を製作していく過程から、すでに監督自身の探求が始まっていて、さらに劇中でジワンに投影することで、キャラクターを通して、映画製作する過程で変化していった意識をドキュメンタリー的にも見せているのだ。

ジワンの作品が評価されず、周りは『アベンジャーズ』のような超大作しか評価してくれない。映画の娯楽性ばかりが強調され、そうでなければ、運営時代が難しくなっていくという、韓国のみらず全世界の映画界における問題点も描かれている点にも注目してもらいたい。

点数 88

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