第1回目スパイダーマンに続き、久しぶりのキャラもの映画史第2弾はワンダーウーマン!
2016年に公開された『バットマンVSスーパーマン ジャスティスの誕生』で電撃的に初登場、のちに単独映画も公開。2020年には続編となる『ワンダーウーマン1984』も公開される。そんなアメコミ映画界のスーパーヒロインとして君臨したワンダーウーマンだが、ワンダーウーマンのスクリーンデビューまでは決して平たんな道のりではなかった。
第2回目はそんなワンダーウーマンについて触れていこう。
ワンダーウーマンの誕生
心理学者で作家でもあったウィリアム・モールトン・マーストンが不倫相手である学生オリーヴ・バーンの存在からヒントを得ていて、その他にもフェミニストや産児制度の活動家であるマーガレット・サンガーなどからもインスピレーションを得ていることから、初期のワンダーウーマンは女性の社会的地位に対するプロパガンダとして扱われ、作家の愛人と妻との奇妙な私生活も問題となったことから、アメコミの歴史の中でもスキャンダラスな作品とされていた。
2017年には、その過程が描かれた映画『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』が『ワンダーウーマン』の公開時期に便乗して全米公開されたが、思ったほどの成績が出なかったことから、作品としては失敗に終わったため、日本ではDVDスルーとなった。
今では誰もが知っているキャラクターのルーツを知ると意外なものが実は多いのだ。
初の実写化はテレビドラマ
1976年から放送が開始され、日本でも『空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン』『紅の旋風ワンダーウーマン』というタイトルで放送されていたテレビドラマシリーズが初の実写化となった。
「スーパーマン」や「バットマン」などが映画化されるなか、当然ながら映画化の企画は「ワンダーウーマン」にも昔からあるが、実現はしなかった。
映画化が進みそうで進まない時期
『ワンダーウーマン』を映画化する企画は2000年以降、何度も企画はあったのだが、映画化にはいたらず。
2000年以降、ワーナー・ブラーズの今後の映画ラインナップとして長年の間、ホームページにも表示されていたほど、ワーナーサイドは『ワンダーウーマン』の製作には着手したかったことが読み取れた。
ちなみにこの時の企画では、主演はサンドラ・ブロックの予定でした。その後ビヨンセが主演を熱望したりもするなど、製作自体がアナウンスされ、映画化が望まれていた『ワンダーウーマン』が何故、製作されなかったのか…それは様々な悲劇があったからだ。
一番の原因は、ワーナーのアメコミ映画の不発続きがあったからだった。
第1次ジャスティス・リーグの悲劇
「バットマン」「スーパーマン」などを扱うDCコミックはワーナーの子会社であることから、DC作品はマイナー作からメジャー作、テレビドラマまで全てワーナーで統一してきていて、映像化の権利が散らばってしまっているマーベルより、ヒーロー映画は比較的作りやすい環境にあったことから、いきなり『ジャスティス・リーグ』を公開してから単独映画で攻めることを決意した。
『フレディVSジェイソン』『エイリアンVSプレデター』のときに企画が浮上した『スーパーマンVSバットマン』を白紙に戻し、『ジャスティス・リーグ』の製作がスタートされ、監督には『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のジョージ・ミラーが決まり、コンセプトアートや俳優も決まりつつあったという状況下の中、映画界の歴史に残る全米脚本家協会のストライキがタイミング悪く発生したことで企画自体が消えてしまった。
この時に消えてしまった映画企画やドラマのシーズンは映像業界に大きな負の遺産を残すこととなった。
『グリーンランタン』の悲劇
ジャスティス・リーグの悲劇が落ち着いて、再びジャスティス・リーグの企画を復活させるために投入したタイトルが『グリーンランタン』でした。
バットマンの「ダークナイト」シリーズのリアリズムを追求した世界観とは120度違う、舞台が宇宙規模の作品ということで、スケールを大きくすると同時にDC映画の世界観の拡張を狙ったのだ。
しかし、この『グリーンランタン』は『デッドプール』の中でもネタにされるほどの大失敗作となってしまったことで再び計画は行き詰ってしまった。
新ドラマシリーズがキャンセルに
DCヒーローの映画化企画自体がネガティブな状態で一歩踏み出せないでいたた中でマーベルは『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『マイティ・ソー』と映画界でMCUの拡張を順調に進めていった。
そこでDCはドラマ業界では、まだマーベルの力が及んでいないことから大量のドラマ化企画を発表、その中で映画と同様に『ワンダーウーマン』は2000年代から何度もドラマ化が検討されていた作品であったことから、2011年に急ピッチで製作をスタートさせ、NBCが秋に放送開始予定作品として、主演のエイドリアンヌ・パリッキ、ヴィランにエリザベス・ハーレイをキャスティングしたパイロット版も実際に制作された。
しかし、このパイロット版が試写の段階ですにNGが出てドラマ化は断念されてしまった。
のちに『アロー』『フラッシュ』『スーパーガール』とヒット作品を生み出すことになるが、もし『ワンダーウーマン』がシリーズ化されていて、それが大ゴケしたことでアローバースが生まれなかったとしたら、結果的には制作されなくてよかったのかもしれない。
第2次ジャスティス・リーグの悲劇
『マン・オブ・スティール』からスタートしたザック・スナイダーによるDCエクステンデッドユニバースだが、2作目の『バットマンVSスーパーマン』でついに思い切った行動に出る。それはワンダーウーマンを先行登場させることだった。
今回の企画では、すでにマーベルが『アベンジャーズ』の映画化を実現させていたため、ジョージ・ミラー版と同じように『ジャスティス・リーグ』をいきなりはじめに公開する予定だったがザック・スナイダーがとりあえずスーパーマンとバットマンは先に公開しておくべきだということから『マン・オブ・スティール』と『バットマンVSスーパーマン』『ワンダーウーマン』が実現し、とんとん拍子で『ジャスティス・リーグ』の製作にこぎつけた。
しかし、撮影中にザック・スナイダーの子供が亡くなってしまったことから、ザック・スナイダーは企画から手を引き、『アベンジャーズ』のジョス・ウェドンが監督を引き継いだが、結果的に2部構成であったものが2作目の公開は、現段階では中止となっている。
DCエクステンデッドユニバースを救ったワンダーウーマンとアクアマン
事実上、『ジャスティス・リーグ』の続編企画は消滅してしまいましたが、前に公開された『ワンダーウーマン』と後に公開された『アクアマン』が高評価を得たことでDCエクステンデッドユニバースは続くことが決定し、中止を危ぶまれていた『フラッシュ』や『ザ・バットマン』も公開が決定した。
ワンダーウーマンも続編となる『ワンダーウーマン 1984』が2020年6月に公開され、すでに3作目とアマゾン族を扱ったスピンオフも企画されている。
追求!キャラもの映画史第3回目は時期は未定ですがタートルズかキャスパーを予定!!
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