
THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『ジーザス・キャンプ〜アメリカを動かすキリスト教原理主義〜』
作品情報

『ヤバい経済学』『ワン・オブ・アス』などで知られる ドキュメンタリー作家コンビのハイディ・ユーイングとレイチェル・グレイディがキリスト教原理主義・ペンテコステ派が行っている、子供たちに思想を植え付ける「ジーザス・キャンプ」に参加する子供と両親、そのリーダー格であるベッキー・フィッシャーなど数名の関係者に密着したドキュメンタリー作品。知られざるキャンプの実態を浮き彫りにしていくことで、見えてくるものとは…。今作は第79回アカデミー賞にてドキュメンタリー賞にノミネートされた作品でもある。
『ジーザス・キャンプ〜アメリカを動かすキリスト教原理主義〜 』基本情報

2006年製作/87分/アメリカ
原題:Jesus Camp
監督: 『ヤバい経済学』ハイディ・ユーイング、レイチェル・グレイディ
出演 :
ベッキー・フィッシャー
テッド・ハガード
短評

こういったドキュメンタリーを観ると、人は一人一人違うとも言うし、考え方も人それぞれと言うが、人間の概念や思想というのは、自然に、時には意図的に引き継がれて、違った意見には耳を貸さないどころか争いまで起きてしまうということを改めて考えてしまう。
宗教に関わっていなくても、テレビをつければ教育テレビという固定された概念を押し付けられる番組やディズニーに支配されていて、人間の思想というのは、良くも悪くも操作されている部分はあるのだ。
さらに子育てというのは、両親の価値観や概念が反映されることが多く、言ってみれば洗脳のようなものだ。何が正しくて何が間違っているのかということが言えない子育てではあるが、そんな中でも物議を呼んだのが今作だ。
まだ思想や概念というものが完成されていない、子供達を相手にジーザス・キャンプ、文字通りキリスト教の教えを叩き込むキャンプというのが存在しているのだが、これは何もキリスト教に限ったことではない。
キリスト教といっても、仏教やイスラム教、他の宗教でもそうだが宗派というのが色々あり、その考え方や行動も様々であるし、日本でも某宗教団体は、実際に青少年育成のために合宿が定期的にあるし、どことは言わないが学校まである。
待機児童問題がある保育園の場合は、好きな保育園を選べる状態でなく、仕事や家庭環境によって、とにかく空いていたら入りたいという考えの人もいて、たまたまそこが仏教であっても気にしていないが、小さいうちから何か固定の宗教を押し付けられるという構造は疑問を感じる。小さい子がお釈迦様の歌を口ずさんでいる日本も他国から見れば異様ではないだろうか。
何も言っても、何を訴えたとしても、宗教という支配的概念が蔓延る世界にとっては、戯言でしかない。
今作で密着するのは、キリスト教原理主義・ペンテコステ派のキャンプである。キリスト教原理主義というのは、全てが神によって創造され、動かされているという考え方で、学校が教える科学に基づいた歴史は否定しているため、両親も学校へは行かせていない者も多い。
学校で教えることは、間違っているからという考えによるものなのだが、それ自体は間違っているとも正しいとも言い切れない。それは韓国における反日教育やアメリカにおける原爆への考え方、そもそも歴史自体が捏造されていたりと…挙げていったらキリがない
間違っているのか、間違っていないのかなんて、すでに捻じ曲げられていて、いかに概念や思想を押し付けるか、インプットさせるかというのが教育の構造のひとつとしてあるだけに、密着しているジーザス・キャンプも随所をつまんで、ここが変ですよと言い出したらキリがないし、ブッシュは神の使いだとか、ハリー・ポッターは魔法を使うから悪魔だとか、異様な光景は確かにあるが、これは俯瞰で見てみれば他の宗教や教育の場でも普通に存在していることなのだ。
特殊な思想を持つ人達がいるのも事実。その中で子供にも思想が受け継がれていく。だから差別や固定概念というをなくすことが、いかに難しいかということに行き着いてしまうのだ。
やっていることは変だと思うかもしれないが、あなたが普通だと思っていることも、実は変なことかもしれない。何が言いたいかというと、こういった思想による教育もあるということを知る手段として今作が機能するのはいいが、これが「おかしなこと」「間違ったこと」と決めつける権限というのが私たちにはないということだ。
それを言うことは、何かの思想を通して観てしまっていることであり、中立な立場からだと、知らない世界を知れてよかったとしか言いようがない。
だからこそドキュメンタリー映画、特に何かに密着した一方向からのものの、批評は難しいのだ。

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