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有名作品のバブリックドメイン化に便乗した低予算ホラーが入り乱れるカオスな状況悪化中!『マッド・マウス ミッキーとミニー』

有名作品のバブリックドメイン化に便乗した低予算ホラーが入り乱れるカオスな状況悪化中!『マッド・マウス ミッキーとミニー』

作品情報

21歳の誕生日を迎えるアレックスは、バイト先のゲームセンターで店長から残業を頼まれ、夜遅くまで働くことに。一人きりの店内で不気味な人影を目撃した彼女は恐怖心を募らせるが、旧友たちによる誕生日祝いのサプライズパーティーであったことを知り安堵する。だが、楽しい時間も束の間、彼女たちの前に謎の”ヤツ”が出現。まるでアトラクションを楽しむかのようにデスゲームを開始し、次々と血祭りにあげていく……!!

 ミッキーマウスがスクリーンに初登場した短編作品『蒸気船ウィニー』が2024年1月からパブリックドメイン化したことで、ミッキーマウスを題材としたホラー映画が量産される事態が発生!そんななかから、一番先に日本上陸した狂気作『マッド・マウス ミッキーとミニー』が3月7日より公開中!!

 ディズニーは、自社の作品としてのイメージを世界に定着させてきたはずの「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」、「ノートルダムの鐘」、「アラジン」といった作品が、ディズニーだけではなく、世界各国で多数制作されるようになったことで、再びディズニーイメージを高めるために、アニメに加え実写化を次々と実現させており、それが現在のディズニー実写版ラッシュの基盤となっている。しかしもうひとつ、追い打ちをかけるように、原作の著作権が続々と切れてしまっている問題が勃発。そのため「ピーターパン」や「ピノキオ」、「バンビ」といった有名作品をホラー変換するという行為が可能となってしまった。

とはいえ、真剣に作っているというよりは、悪ノリや出オチで制作されてしまっているものがほとんど。ただ”意識してますよ”感を出すことで、ネタとしてメディアに取り上げてもらえるという戦略の側面が強く、キャラクター愛があるかというと、全くそうではない。確かに「ファンゴリア」みたいなホラー雑誌の広告でしか見ないような低予算のアングラ・ホラーばかり撮っているクリエイターたちにとっては、もともと知名度があって、自然に宣伝してもらえるという意味で、良い題材なのかもしれないが……。

クマのプーさんの場合も同じ。日本でも『プー あくまのくまさん』(2023)と続編の『プー2 あくまのくまさんとじゃあくななかまたち』(2024)が公開されているが、実は日本に入ってきていないだけで、膨大な量のホラー作品が制作されている。

そしてついに、ミッキーマウスの初登場として知られる短編『蒸気船ウィリー』(1928)も2024年1月からパブリックドメイン化。それによって、プーさんを上回る量のミッキーマウスを題材とした作品が制作されることになってしまった。ややこしいことに、ミッキーマウス自体はディズニーが権利を所有しているため、あくまで『蒸気船ウィリー』に登場するミッキーマウスとミニーマウスに限られている。つまり現在のミッキーマウス感を出してしまうとNGということもあって、実はプーさんよりも自由度は低い。

それでも『Mouseboat Massacre』や『I Heart Willie』、『Mickey’s Slayhouse』…といった作品が制作されているし、今後も増えそうな勢いだ。そんななかの一本が今作『マッド・マウス ミッキーとミニー』である。

監督のジェイミー・ベイリーは、『デスNS インフルエンサー監禁事件』(2022)や『エンド・フロム・ディープ 終末の海域』(2023)といった作品が、日本でも公開またはソフトリリースされているため、”あくまで”それらの類似作品のなかでは、比較的、知名度の高いクリエイターといえるだろう。

 今作の何が問題なのかというと、悪ノリで制作されたというよりも、ミッキーマウスというキャラクターやアニメーション的世界観を活かしきれていないことだ。つまり悪意も愛情もない無機質な作品になってしまっていること。逆にそれが狂気性を出しているのかもしれないが、それだとミッキーマウスである必要性が無くなってくる。

制作者は違うにしても『プー あくまのくまさん』の場合は、無理矢理にでも設定の部分で寄り添っていたが、今作においては、もはや全く無視。例えば『蒸気船ウィリー』の描写に見立てて殺人事件が起こる…というわけでもない。単にミッキーの姿(それも雑な)をした殺人鬼が襲ってくるという内容。ただサイコキラーがミッキー風という以上のものを見つけることができない。

ところが、続編となる『The Mouse Trap: Welcome to The Mickeyverse』が、すでに制作中。今年の8月公開予定となっているのだから驚きだ。次回で巻き返してくれることを願っているが、そもそもネタはあるのだろうか??ちなみに「テリファー」シリーズの制作チームによる『Screamboat』も今年公開予定であるが、こちらは予告を観た印象としては、『蒸気船ウィリー』を意識した作りになっている。

そもそもパブリックドメインなんて関係なく、ディズニーをネタにしている作品はいくつかある。代表的な作品でいうと、風刺漫画雑誌の「MAD」やアニメ「サウスパーク」だ。「サウスパーク」の場合は、ミッキーマウスだけではなく、ディズニーアニメ、関連作品、さらには関係者の実名まで出して、中国に魂を売っていると言ってみたり、ミッキーマウスに大麻を吸わせたりしていて、訴訟リスクMAXな部分を渡り歩いている。

 何が言いたいかというと、せっかくミッキーマウスを扱うのだから、ギリギリというか、もはやアウトであったとしても、もっと攻めるほどの度胸は見せてもらいたかったということだ。

【クレジット】

監督・制作・編集・撮影:ジェイミー・ベイリー 

脚本・製作:サイモン・フィリップス 

出演:ソフィー・マッキントッシュ、マッケンジー・ミルズ、サイモン・フィリップス、カラム・シウィックほか

2024年/カナダ/英語/カラー/5.1chデジタル/スコープサイズ/94分

原題:MOUSE TRAP 

配給:ハーク 

配給協力:FLICKK 

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3月7日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開

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