
THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『サンキュー・スモーキング』
作品情報

タバコ業界のPRマンと嫌煙派の戦いを風刺したクリストファー・バックリーの小説「ニコチン・ウォーズ」(東京創元社刊)を、『ゴーストバスターズ』などで知られるアイバン・ライトマン監督の息子で『フロントライナー』のジェイソン・ライトマンが映画化したブラックコメディ。「情報操作の王」と異名をとるタバコ団体のPRマンのニックは愛煙家の自由を守るべく、日頃から得意の話術を使って嫌煙家からのバッシングをかわしていたが、ある日突然、絶体絶命のピンチに直面する……。
『サンキュー・スモーキング』基本情報

2005年製作/93分/アメリカ
原題:Thank You for Smoking
監督: ジェイソン・ライトマン
出演 : アーロン・エッカート、マリア・ベロ、ケイティ・ホームズ、サム・エリオット、アダム・ブロディほか
短評

社会の中には、合法ではあるが、特定の人からは嫌われる物を売る職業がある。それは武器、酒、そしてタバコである。
主人公のニックは、タバコの宣伝マン。年々、禁煙の波というのは大きくなり、肩身が狭くなる一方の喫煙者だが、それを売る側もそれは同じである。
映画の冒頭でタバコを吸っていたことで癌になったと思われる少年がテレビ番組に出演していて、タバコが彼を殺すという意見に対して、ニックは「彼には死なれたら困るのは、タバコ業界であって、それは顧客を失うことになるからだ」と言ってのけるシーンがある。冒頭でいきなり「その発想の転換は凄い」と思わされてしまうのだ。
タバコにドクロマークを付けるという案が出た際には、「それであれば死因のトップであるコレステロールの原因でもあるチーズにも付けるべきだ」と言ってのける。不利な土俵から、論点を「死因」に置き換えることで自分の有利な土俵に持ち込むのだ。
実はこの映画、あくまで主人公がタバコを扱っていることで、タバコに固定されたテーマに思われがちだが、そうではない。この作品のテーマは、物事の考え方、とらえ方ひとつで、いかようにも覆すことができるということ、言葉のもつ力の幅広さというのをテーマとしているのだ。
世間に蔓延る矛盾点を指摘することで、相手を黙らせてしまうトーク力は実に見事。会社の研修に『摩天楼を夢見て』をみせるぐらいなら、今作をみせた方が圧倒的に営業力は育つのではないだろうか。
映画業界、マスコミ業界など、情報操作があたりまえな現在社会の中で人間は、情報に流され、概念や価値観、行動性までもが自覚なしに動かされているということを皮肉る風刺映画ともなっているのだ。

サンキュー・スモーキング<特別編> [ アーロン・エッカート ] 価格:1,100円 |
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