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この映画語らせて!ズバッと評論!!第34回東京国際映画祭SP『ムリナ』外の世界への憧れの象徴として現れるクリフ・カーティス!!

作品情報

クロアチアの島に住む10代の少女は抑圧的な父と対立する。父の友人が訪ねてきたことを機に、少女の外の世界への関心が高まる。クロアチアの女性監督デビュー作。

『ムリナ』レビュー

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クロアチアの小さな島で暮らす多感な時期の10代の少女ユリア。都会からバカンスにやってきた富裕層らしき若者のグループを窓から羨ましそうに眺めながら、同じようなことの繰り返しの毎日が続く、閉鎖的な島から外の世界への憧れを自由な若者たちに重ねているようだ。

そんな中で、父親の友人であり、雑誌に載るほどのカリスマ的ビジネスマン、ハビエルが島に土地の売買で訪れる。

ユリアにとって、ハビエルこそが外の世界の象徴である一方で、保守的で野心も失われてしまったような父の姿は煙たく感じて仕方がない。ユリアの母も何やらハビエルとの間に関係があったようだ。

ユリアはいっそこの際に、母親とハビエルの恋愛感情を復活させることで、母と一緒にハビエルと都会に行きたいという不純な動機の元で様々な手をつかってハビエルの引こうとするが、それに気づき始めた父の怒りや嫉妬、敗北感などが渦巻き、ユリアとの関係は険悪なものとなっていく。

解説に書いてあるような「抑圧的」というよりは、娘には自分のように失敗しないで無難な世界で生きていたもらいたいという、不器用ながらの親子心からによるものではあるが、反抗期のユリアにとっては、憎むべき敵のように映ってしまう。

どちらの視点からの気持ちもわかる一方で、実はハビエルにとって、ユリアや母親を連れて帰ることなどは、考えてもいないため、勝手に繰り広げられている親子喧嘩に巻き込まれたような違和感を常に感じている状態という立場からの視点も描かれるなど、劇的な展開がそれほどあるわけではないが、ユリアを演じるグラシア・フィリポヴィッチのセリフで語らず、表情で語る演技から心情がひしひしと伝わってくるだけに、今後の活躍が期待できそうだ。

点数 80

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©Maja Medic

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