作品情報
1929年、英領セイロンにチリ領事として赴任した詩人パブロ・ネルーダは、前任地で受けた心の傷を癒すため海辺で静かな生活を始める。植民地時代のスリランカを描いた意欲作。
『その日の夜明け』レビュー

外交官で詩人として知られ、2017年にも『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』という映画が日本でも公開されたり、彼をモデルとした小説が翻訳されている「パブロ・ネルーダ」作品の中で、あまり扱われることのない、20代に植民地時代のスリランカを訪れた際の1929年前後の出来事を描いている。
マイケル・ウィンターボトムの「~は呼んでいる」シリーズのように、異国の地特徴的な文化や風習などを外国人の視点から描く、いわゆる「旅もの」映画となっていて、シリーズ感がどうしても漂ってしまくっている感じがしないでもないが、今までのパブロ・ネルーダを扱った作品と比べると、かなり異質なものとなっている。
扱っているテーマは、重たいものでありながら、それらをコミカルに描くことで、その問題を俯瞰から見たおかしさを描き出す風刺スタイルそのものである。
パブロの視点から見えるのは、同じ人間でありながら、カースト制度によって階層が決まっているおかしさであり、同時にパブロのお世話役のタミル人から見た外国人のおかしさを描いている。偏った目線ではなく、異なった立場からの視点を交差的に描くことで、問題を浮彫にしていく。
また「007」シリーズの中でも度々問題視されてきたプレイボーイ描写が、今ではただの女性蔑視や強姦魔であるという、時代によって変化してきた概念をメタ的な見解も取り入れ、観ている側にも投げかけるものとなっているのだ。

点数 79
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