
作品情報
『Hooligan Sparrow』『Out of Many, One』など社会派ドキュメンタリーを多く手掛けてきたナンフー・ワンが実生活で出産をしたことをきっかけに、かつて中国で行われていた「一人っ子政策」の真実と闇を自分の親族や故郷の人々などのインタビューを通して浮き彫りにしていくドキュメンタリー作品。
『一人っ子の国』レビュー

本作はアマゾン資本によるアマゾン・スタジオがバックアップしたアマゾン映画である。アメリカでは2019年8月に公開されて話題となった。
今作で描かれているのは、日本でも誰もが学校の授業で一度は習うであろう中国政府による「一人っ子政策」
しかし、その詳細については、あまり触れていなかった気がする。単に子供をひとりしかもてないという、そんなふわっとした印象しか残っていない「一人っ子政策」というものの実態に隠された闇の部分を浮き彫りにしていくドキュメンタリー作品。
おそらくワードだけは知っているけど…っていう感覚はアメリカ人も同じでこのドキュメンタリーで知らされる衝撃の事実に冷静ではいられなくなる。
今作の監督でもある社会派ドキュメンタリー監督ナンフー・ワンが実生活で子供を出産したことで子供を連れて里帰りしながら、実際の親や親戚、故郷の人々、医療関係者のインタビューを通して「一人っ子政策」が人々に与えてきた影響を浮き彫りにしていて、かなり前の過去の負の遺産のような感じもするが実は「一人子政策」が廃止されたのは2015年と、つい最近の話なのだ
そもそも「一人っ子政策」とは何か…1979年中国は「一人っ子政策」を施行、1982年には憲法に明記された。田舎では農業の人手が足りないということから、5年空ければもう一人産むことができた。というものだが、後継ぎとして男の子を産みたかった人は、2人目が女の子だった場合は子供を処分して存在しなかった様にしていたのだ。
長年かけて政府のPRやプロパガンダによって、人口増加による危機から国を守るためと洗脳され続けていたため、麻痺している親世代も多く、実際にナンフー・ワンの母親も「政府は間違っていなかった」と後悔していない。親戚の子供が女の子だったため、「捨てなければ国の恥、私が自殺するか子供を殺すか選べ」とまで言ったそうだ。
どうしても子供を殺したくなかった、その子供の親は捨てて、誰かに拾ってもらえることを願い続けたが、結果的に死んでしまったと言う。
性別がわかった後で処分するということである程度、人間の形が出来上がっている生々しい胎児を医療廃棄物の袋に入れてゴミとして捨てていたという異様な現実もあった。
劇中にある写真家が登場する。その写真家はゴミの山をアート的に感じたことで、写真に収めたのだが、そこにはゴミとして捨てられている胎児の死体があったのだ。それも1つや2つではない。劇中にもその実際の写真や捨てられていた胎児の実物も登場するが、どれも目を背けたくなるものばかりだが、こんなカオスな状態が40年近く続いたという現実から目を背けてはいけない。
ドキュメンタリー映画『一人っ子の国』は今後日本の劇場で公開されるかは不明。しかし日本でもアマゾンのプライムビデオで観ることができる。プライム会員なら誰でも観られる作品だ。
点数 71点
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