作品情報
ニュージーランドののどかな牧場を舞台に、遺伝子工学によって生み出された殺人羊の大群が巻き起こす惨劇を描いたアニマルホラー。農場で生まれ育ったヘンリーは、とある事件によって羊恐怖症となり、実家を離れて暮らすことに。それから15年後、実家での静養を勧められたヘンリーは久々に帰郷するが、そこでは兄アンガスが羊を使って恐ろしい遺伝子操作実験を行っていた。そんな中、無思慮な環境活動家が突然変異した羊を農場に放したことから、何千匹もの羊が血に飢えた捕食動物へと変貌してしまう。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2020」上映作品。
『ブラックシープ』レビュー

2007年にニュージーランドで公開された映画で、日本では劇場公開もビデオスルーもされていなかった作品。
狂暴化した殺人羊に襲われるというコメディのようにパッケージされた映画ではあるし、主人公は羊だ沢山いる農場で育ちながら子供のころのトラウマで羊恐怖症という突拍子もない設定が何ともおバカであったりする。
しかし、演出や展開は王道のホラー、パニック映画ものであり、細部も作りこまれていて、更に時間的にも丁度良い。大傑作ではないが、非常に安定観のある作品ではある。
動物愛護・環境運動家が極限の状況下で羊や羊人間をショットガンで撃ち殺していくという風刺的な要素も含んでいて、扱っているテーマも実は社会派だったりもする。
クリーチャーデザインや人間の殺され方も、いちいちリアルで作り込まれているのだが、それもそのはず!美術やクリーチャー造形を担当しているのは、ピーター・ジャクソンとの『ロード・オブ・ザ・リング』『キング・コング』やギレルモ・デル・トロの『ヘルボーイ』『パンズ・ラビリンス』などのクリーチャー造形などでもお馴染みのウェタ・ワークショップなのだ。
ニュージーランドでは、ウェタ・ワークショップのスタジオを見学できるツアーが人気となっていて、自社が手掛けた作品のプロップやフィギュアを製作して流通もさせていることで、映画ファンやフィギュア・コレクターにとってもよく知られている存在だ。
羊人間のデザインが『パンズ・ラビリンス』のパンや『ロード・オブ・ザ・リング』のトロールに顔が似ているのは、そういうことなのだ。
監督のジョナサン・キングも今や『グリーンブック』や『ROMA ローマ』など一流作品を多く手掛けるプロデューサーとなっている。
ゲテモノ映画のような扱いをされているが、実は王道のメジャー路線映画なのだ。外見で判断してはいけないというのは、人も映画も同じ。日本でもう少し良い扱いをしてあげてもいい映画だと思う。

点数 77点
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