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第38回東京国際映画祭作品レビュー:31:『アメリと雨の物語』

作品情報

監督/脚本/ビジュアル開発:マイリス・ヴァラード

監督/脚本/ビジュアル開発:リアン=チョー・ハン

脚本/ビジュアル開発/美術:エディン・ノエル

ビジュアル開発:マリエッタ・レン

ビジュアル開発:レミ・シャイエ

音楽:福原まり

声優 : ロイーズ・シャルパンティエ

ヴィクトリア・グロボア

ユミ・フジモリ

  • 77分
  • カラー
  • フランス語、日本語
  • 2025年
  • フランス
  • ファインフィルムズ

© 2025 Maybe Movies, Ikki Films, 2 Minutes, France 3 Cinéma, Puffin Pictures, 22D Music

【ストーリー】

1960年代日本—神戸で生まれたベルギー人の小さな女の子アメリ。彼女の成長を描く物語。外交官の家庭に生まれ、2歳半までは無反応状態だったアメリ。その後、子ども時代に突入した彼女は自らを「神」だと信じ、魔法のような世界を生きている。家政婦のニシオさんや家族との日々の生活は、彼女にとって冒険であり、新たな発見の連続。少しずつ変化していく。しかし、3歳の誕生日に人生を変える出来事が起こ り、彼女の世界は大きく変わっていく…。

『カラミティ』(2015)や『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』(2020)などのアニメ映画を手掛けてきたレミ・シャイエ作品に参加してきたマイリス・ヴァラードとリアン=チョー・ハンが長編監督デビューを果たした本作。戦後の外国人差別、偏見が残る1960年代の日本・神戸を舞台にした物語だが、おもしろいのは視点だ。

アメリというベルギー人少女の胎児時期から視点から始まり、この世に産み落とされてから、物心がつくまでの間の感情を繊細で、どこかスピリチュアルに描いている。物心がついてからは、世界に色が付いていくように、見るものすべてが美しい感じるのと同時に、子どもながらに人間の感情の複雑さを学んでいく。

そこでアメリに大きな影響をあたえるのが、日本人家政婦のニシオ。彼女との交流を通して、様々な感情を学んでいく。そのなかで、ひとりの何も知らない子どもの視点と並行して、時代が変化し、戦争を体験していない子どもの純粋な視点としてもアメリというキャラクターを通して描かれている。

そして近所に住む、もうひとりの日本人カシマ。この女性は、戦争で身内を亡くしており、外国人に対しての偏見がある。外国人が悪いというわけではないことぐらい頭では理解していても、どこかで壁を作ってしまっている。大人でも理解することが困難で処理しきれない感情の変化に、子どもながらにアクセスしようとするアメリの視点も独特だ。

死ぬということは、何なのだろうか。さらには身近な人の死を通して、子どもながらに考えようとしても答えが出ない。

フランスというかヨーロッパのアニメが全てそうというわけではなく、あくまでスタイルのひとつではあるのだが、輪郭線をあえて描かず、色を重ねていく独特の描き方がアート性をも協調し、視覚的にも飽きさせない物語を構築してみせた。

総合評価:82点

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