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第38回東京国際映画祭作品レビュー:17:『ナイトフラワー』

第38回東京国際映画祭作品レビュー:17:『ナイトフラワー』

作品情報

原案・脚本・監督:内田英治 

音楽:小林洋平

エンディングテーマ:角野隼斗「Spring Lullaby」(Sony Classical International)

出演:北川景子 森田望智 佐久間大介(Snow Man) 渋谷龍太 / 渋川清彦 池内博之 / 田中麗奈 光石研

製作:「ナイトフラワー」製作委員会  

配給:松竹  

©2025「ナイトフラワー」製作委員会 

PG-12 (本編124分)

公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/nightfl…

11 月 28 日(金) TOHO シネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

【ストーリー】

借金取りに追われ、二人の子供を抱えて東京へ逃げてきた夏希(北川景子)は、昼夜問わず働きながらも、明日食べるものにさえ困る生活を送っていた。ある日、夜の街で偶然ドラッグの密売現場に遭遇し、子供たちのために自らもドラッグの売人になることを決意する。そんな夏希の前に現れたのは、孤独を抱える格闘家・多摩恵(森田望智)。夜の街のルールを何も知らない夏希を見かね、「守ってやるよ」とボディーガード役を買って出る。タッグを組み、夜の街でドラッグを売り捌いていく二人。ところがある女子大生の死をきっかけに、二人の運命は思わぬ方向へ狂い出す――

試写の際に、珍しくプロデューサーの方が挨拶にきていたが、『ミッドナイトスワン』(2020)の制作時に思いついた、もうひとつの「夜の物語」だとか。

シングルマザーを主人公にした作品は、よくあるのだが、たまに貧困環境を誇張しすぎて、物語に信ぴょう性と説得力がなくなってしまうことが、とくに日本映画の場合は多々あるのだが、残念ながら今作もそのパターンに当てはまるだろう。

はっきり言って、貧困ファンタジーでしかない。戸籍を闇で売りさばいたとかじゃなければ、ひとり親世帯は支給金も出るし、学費の一部負担、医療費免除などなど、行政から最低限は生活の保障してもらえる。

しかも今作の主人公は、スナックで働いたり、昼間もパートをしているわけで、借金があったとしても、子どもにごはんを食べさせられないなんて状況には、なかなかならないはずだ。自宅に押し掛けてくるような闇金でもないわけだし、何とでもなる。令和の今に子どもが物乞いしてるって、舞台日本だよね??

もし何か事情があって、そんな極限の状態になっているのだとしたら、それに説得力をもたせる説明が必要となってくるが、なんとなくフワっとしている。何が言いたいかというと、日本の貧困描写を描く際にその現状を知らない人が描くと、こういう”なんとなく貧困”描写になるのだ。

『悪い夏』(2025)のなかでも夜に電気が切られる描写があったが、基本的に電気が切られるのは日中。日中なら支払いや相談できる時間があって対応できるからだ。そんなどうしようもない夜に電気を切る電力会社があるとしたら、個人的に嫌われているとしか思えない。

貧困ファンタジーがチラつく夏希の物語に全く説得力がないのだから、格闘家をしながら実はセックスワーカーとしても働く、多摩恵ひとりを主人公にした方が作品としてはまとまったのではないだろうか。

それぞれのキャラクターに壮絶なバックボーンがあるのは理解できるのだが、結果的に扱え切れず中途半端。

北川景子がほぼすっぴんで挑んだ意気込みは評価できるのだが、肝心の脚本がフワっとしすぎているのが残念でならない。トータルの雰囲気だけになってしまっていて、厚みを感じさせてくれない。

ただ、小春役を演じた子役の渡瀬結美は素晴らしい演技だった。この子は伸びるね!!

総合評価:75点

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