作品情報
少年犯罪者の更生施設に住む少女が妊娠する。施設の教師とその妻は、人目を避けて出産できるように少女と山小屋で共同生活を始める。雪の中で展開される衝撃的な心理ドラマ。
『ザ・ドーター』レビュー

子どもに恵まれなかった夫婦が、更生施設で妊娠した少女イレーネの子どもをもらうかわりに、生活もままならないイレーネのその後の生活を保障するかたちで合意のもとに、山小屋で出産までの隔離生活の中で巻き起こる心理サスペンス。
大前提として、行われているのは犯罪行為そのものではなるが、今作が特徴的なのは、犯罪者側に感情移入させる仕組みになっているところだ。
もしバレてしまうと、夫婦は逮捕されてしまうというのに、幼さからか、事の深刻さを理解していない様子をみせるイレーネはいつ起爆するかわからない爆弾のようでもある。
行方不明という扱いにしてあり、周囲に知られると台無しになるというのに、イレーネが夫婦の留守の間に外出している。家に閉じこもっていられない10代の予測不能な行動への不安感や危うさ、思考の変化に神経を逆なでされる。
良好な関係性を保たなければ逃げられてしまう……そんな不安が尽きない夫婦の視点から描かれていく仕組みがおもしろい。
イレーネも子どもを手放したくないと言い出してから、テイストがB級サスペンスのように変化していってしまう点が難点であり、もう少し上手くまとめられたのではないかという嫌な余韻を残してしまう。
全体的なヴィジュアルとしては、今年の東京国際映画祭の中でも目を惹く作品だけに、期待値を上回ることができなかったのは残念だ
点数 75



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