作品情報
ヴェネチアを訪れたスペイン人観光客が次々と殺害される。その陰には街を外国人から取り戻そうとする秘密結社の存在があった。1970年代“ジャッロ映画”へのオマージュとも言うべき作品。(東京国際映画祭公式サイトより引用)
『ベネシアフレニア』レビュー

今作はダリオ・アルジェント、ルチオ・フルチ、マリオ・バーヴァといった巨匠たちが手掛けたきた1960-70年代にかけて多く制作された「ジャッロ映画」にリスペクトした作品であり、そのポスターイメージを彷彿とさせるオープニングムービーが異質な空気感を漂わせ、冒頭からセンスを感じさせる。
しかし、ピークはオープニングまでだった。リスペクトは伝わってくるし、そういった趣旨も理解はできるのだが、異国の地で若者たちが悲劇に見舞われるスタイルはかなり王道なスタイルであるといえるだろう。
そういった異国ホラーとしては、『ホステル』や『食人族』『ミッドサマー』などでも王道パターンであり、これらは異国や未開拓地の恐怖をメタファーとして描いたものではあるが、今作はストレートな演出が多いため、新しさはあまり感じない。
ジャッロ風に拘るのであれば、ストレートに突き進んで欲しかったものだが、変に「今風」に社会問題を取り込もうとしてしまったのが失敗の要因だともいえるだろう。
舞台となるイタリアのヴェネチアが大型クルーズ船が起こす波によって歴史的建築物や海洋環境への悪影響や観光客による治安悪化が問題視されている現実問題を落とし込んでいるのは理解できるが、社会問題の取り入れ方が漠然とし過ぎていて、何を言いたいのかが終始伝わってこない。
そうは言っても、「ジャッロ映画」なリスペクトしているという時点でホラーオタクな監督だということは間違いなく、ホラー的な演出は研究しつくされていると言ってもいいだろう。頭を空っぽにして観る分には良いホラーだ。
余談だが、スペイン人の若者たちが主人公だからなのかわからないが、会話シーンがとにかく早口で1.5倍速のようにも感じた。映画において若者の日常会話なんて聞くに耐えないから、「早送りにしました!」という皮肉であれば最高。

点数 74
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