
THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『インクレディブル・ハルク』
作品情報

実験中に大量の放射能を浴びた科学者ブルース・バナーは、感情が高まると緑色の超人ハルクに変身するという特異体質になってしまう。元の体に戻るべく治療方法を探すブルースだったが、その驚異的なパワーに目をつけた軍が彼の元に追手を送り込み……。これまでも数度に渡って実写化されてきたマーベル・コミックの人気シリーズを、エドワード・ノートン主演&「トランスポーター」シリーズのルイ・レテリエ監督で新たに映画化。
『インクレディブル・ハルク』基本情報

2008年製作/114分/アメリカ
原題:The Incredible Hulk
監督: 『トランスポーター2』ルイ・レテリエ
出演 :
『ソーセージ・パーティー』『アリータ バトル・エンジェル』エドワード・ノートン
『世界で一番パパが好き!』『ストレンジャーズ 戦慄の訪問者』リブ・タイラー
『ルース・エドガー』『海の上のピアニスト』ティム・ロス
『栄光のランナー 1936ベルリン』『ブラック・ウィドウ』ウィリアム・ハート
『ドクター・ドリトル』『グッドナイト&グッドラック』ロバート・ダウニー・ジュニア
短評

2003年にもアン・リー監督によって『ハルク』が製作されたが、見事に失敗作となってしまった。その背景としては、ヒーロー映画のジンクスとも言える誕生秘話に時間を使い過ぎ、尚且つブルース・バナーの葛藤や父親との因縁・トラウマなどメンタル的な部分を描き過ぎてしまい、アクション映画、娯楽作品としては平たんな作品となってしまったことが挙げられる。
その後も劇場公開を見送って、ビデオストレート作品として製作する企画なども挙がったが、どうしても劇場用映画としてハルクを再びスクリーンに戻す必要があった。
この頃から将来的にアベンジャーズを映画化することは計画されていた。企画を実現させるにあたって、避けては通れないハルクというキャラクターをどうしても初期段階で描く必要があったからだ。
正直言って、MCU作品の10作目ぐらいにハルクの単独作品を置いていれば、興行的には、ある程度は稼げたかもしれないが、今作を観てわかる通り、ヒーローが必要な理由やヒーローとヴィランを見極めること、ヒーローを束ねることがいかに難しいということを提示するためである。
この頃から、『スパイダーマン:ホームカミング』評でも少し触れた通り、ヒーローとヴィランの存在が紙一重であることに触れられていて、ハルクが正にその象徴的な存在であり、世界にとっては希望にも脅威にもなる存在をどう扱い、政府としてはどう管理していくかという地盤構築には、どうしてもハルクを初期段階で公開しておかなければならなかったのである。
難しいとは言っても、映画的に失敗させるわけにはいかないというこで、今作では、アン・リー版に欠落していたアクション・シーンを大幅に追加し、対するキャラクターとして、原作では代表的なヴィランであるアボミネーションを登場させ、街中で暴れまわる対決シーンを実現させた。
アン・リー版は重圧感があり、少しのっそりとした印象があったハルクが、今作ではスピーディーに暴れまわるという画を見せつけたことで、娯楽作品として、ある程度のおもしろさがあり、ハルクファンにとっては、今までのドラマ版やアン・リー版とは違ったハルクを目にすることができたということやひょろひょろのエドワード・ノートンが大男になるという対比の良さなどで評価は高いように思える。
興行収入はそれほど伸びず、MCUの中ではワースト扱いではあるかもしれないが、その後のシリーズ展開を考えると、必要な犠牲ではあったように思える。
そうは言っても、製作サイドとしても観客サイドとしても、いかにハルクの単独作が難しく、ハルクだけでは客を引き込めないかということが再確認された映画でもあり、その後に単独作品が一切公開されないのがその証拠で、ハルクを出す際には『マイティ・ソー バトルロイヤル』のように、添え物的に扱われている。今後も単独作品の製作は難しいだろう。
次回は『アイアンマン』を紹介します。

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