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第38回東京国際映画祭作品レビュー:32:『万事快調〈オール・グリーンズ〉』

第38回東京国際映画祭作品レビュー:32:『万事快調〈オール・グリーンズ〉』

作品情報

監督/脚本/編集:児山 隆

原作:波木 銅

主題歌:NIKO NIKO TAN TAN「Stranger」 (ビクターエンタテインメント/Getting Better)

出演 : 南沙良

出口夏希

吉田美月喜

羽村仁成

金子大地

【ストーリー】

未来が見えない町に暮らす秀美と美流紅たち。自分たちの夢をかなえるために、この町とおさらばするには、一攫千金を狙うしかない!彼女たちは、同好会「オール・グリーンズ」を結成し、禁断の課外活動を始めるー

これはパワフルなヒップホップ映画だっ!!

使用するのではなく、生活や環境打破のために薬物に手を出してしまうという点では、『ナイトフラワー』と共通する部分もあるが、こちらの方が圧倒的に説得力はあった。

ヒップホップに限らず、音楽やダンスというものは、抑圧された環境下で誕生することが多い。

現実社会では、思っていても口に出せないこと、行動できないことを表現することで、力強い詩が誕生してくるわけだが、今作はそんな過程を描いているような作品だ。

日本の田舎だって、スラム街やワシントンハイツみたいなものだから、環境が整った都会よりも、田舎こそ新しいものが生まれやすいのかもしれない。しかしそれと逆行するように、チャンスはあるのかというと、なかなか難しい部分がある。

今はネットがあって、地方からでも夢を叶えることができるとはいえ、自分を取り巻く環境を考えると、現実的ではないし、チャンスとしいうのは、結局のところ都会に集中している。

そんな若者たちのなかにある、煮詰まった閉塞感もテーマのひとつとなっている。

原作は、主人公3人以外にも複数の視点が入った構成になっていたが、今作では視点を朴秀美に集約していることもヒップホップとしての側面を強調させているのだろう。

出口夏希演じる矢口美流紅が、原作同様に映画好きという設定で、映画ネタがたびたび盛り込まれているのもアクセントとして機能していた。

東海村が舞台ということもあり、ミニシアターのあまや座が登場するなど、地方都市が舞台に映画ネタが絡むおもしろさや新鮮さがあって、原作よりも設定を明確に活かせていたように感じる。

総合評価:85点

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