作品情報
監督/脚本:深田晃司
共同脚本:三谷伸太朗
音楽:agehasprings
エグゼクティブ・プロデューサー:山口 晋
エグゼクティブ・プロデューサー:臼井 央
プロデューサー:阿部瑶子
プロデューサー:山野 晃
出演 : 齊藤京子
倉 悠貴
仲村悠菜
小川未祐
今村美月
桜 ひなの
唐田えりか
津田健次郎
©2025「恋愛裁判」製作委員会
124分/カラー/2025年/日本/東宝
【ストーリー】
人気急上昇中のアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」でセンターを務める山岡真衣は、中学時代の同級生・間山敬と偶然再会し、恋に落ちる。アイドルとして背負う「恋愛禁止ルール」と、抑えきれない自身の感情との間で葛藤する真衣。しかし、ある事件をきっかけに、彼女は衝動的に敬のもとへと駆け寄る。その8カ月後、事態は一変。所属事務所から「恋愛禁止条項違反」で訴えられた真衣は、事務所社長の吉田光一、チーフマネージャーの矢吹早耶らによって、法廷で厳しく追及されることとなる。

アイドルは商品なのか、それとも人間なのかを問う”ぬるっと”した法廷劇。
もともと音楽活動を行っていたインディーズバンドやアーティストがレーベルやスポンサーと契約し、プロモーションによって有名になり、結果的にアイドル的な存在になっていくのとは別に、企業や音楽レーベルのコンセプトに従って、結成されたグループというのも一定数いるわけだ。
その場合は、完全に企業の商品という側面が強い。仮に恋愛禁止という取り決めが交わされていたとしたら、それを承諾して加入したことになってしまう。
今作に登場する”ハッピー☆ファンファーレ”は、明らかに企業のコンセプトによって誕生したアイドルグループだ。アイドルが恋愛禁止というルールは、それこそ70年代からあったものの、明確にルールとして表に出されるようになったのは、AKBグループの影響が一番強いだろう。
実際に会いに行けるアイドルというのをコンセプトにしたグループが続々と誕生し、地下アイドルという言葉が一般化するほど、運営がグレーなものまで乱立する状態となっているなかで、そもそもルール自体が人道的なのか、現代の価値観に合っているものなのか、そういった角度から議論できるかもしれないし、打撃の仕方によってはルール自体の矛盾点や精神的な圧迫などの角度から弱点を突き崩せないわけでもないが、ほとんどの場合、圧倒的に強いのは企業側である。
裁判というのは、信念に対して社会的影響をどこまで容認できるかどうかの戦いでもあるが、今作はアイドルという華やかな世界からの延長線上のようで、センセーショナルな法廷劇というわけではなく、実際の裁判の空気感をそのまま切り取ったものとなっていて、『よこがお』や『LOVE LIFE』などで知られる深田晃司監督・脚本の色がかなり強く出ている。つまり正真正銘、裁判映画である。
ところが、実際にはドラマパートが多く、裁判のシーンにはそれほど時間をかけていないのが現状であるというのに、短い時間で裁判映画であり、なおかつ”ぬるっ”とした空気感を出したのは見事だ。
それでいて、主演の齊藤京子が、直近でいえばドラマ「娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?」でも見せていたのと同じく、良い意味で目から光が消え、どこかで何かを落としてきたかのような演技が抜群に上手かった。
総合評価:82点



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