作品情報
監督:河森正治
脚本:橋本太知
キャラクターデザイン:江端里沙
企画:スロウカーブ
制作:サンジゲン
出演 : SUZUKA(新しい学校のリーダーズ)
原田泰造
寺西拓人
伊東 蒼
齋藤 潤
115分/カラー/2025年/日本/ギャガ
©『迷宮のしおり』製作委員
【ストーリー】
普通の女子高生・栞は、ある日突然スマホが割れ、無人の異世界に閉じ込められる。一方、現実世界ではもうひとりの自分“SHIORI“が現れ、本物の”栞”になり替わろうとする。自分の存在を守るため、喋る謎のウサギスタンプとともに奇妙なスマホの中の迷宮から抜け出そうとする、異世界青春ファンタジー。

「超時空要塞マクロス」シリーズでお馴染みの河森正治監督による、テレビシリーズの劇場版ではないという意味では、初のオリジナル長編作品だ。
簡単に世界と繋がれるようになった現代において、本当の自分はどこにいるのだろうか。そもそも人間には、内の顔と外の顔がある。精神的なもの、哲学的なものは置いておいたとしても、単純に社会生活と私生活の自分は違う存在であるかのように分離されている。ところが今は、インターネットというものが間に入り込んできた。つまり現代社会に生きる人間は、少なくとも3つの自分と共に生きていることになる。とくにデジタルネイティブ世代にとって、ネット世界の自分が占める割合の方が多いのかもしれない。
自分の居場所と感じていたネット世界が、炎上がきっかけとなり、バランスが崩れてしまったとしたら、どうなってしまうのだろうか。どこに救いを求めるのか、そもそも現代人は救いを求める場所さえも用意していない。そんなときに一番前に出てくる自分は、どの自分なのだろうか。
それがわからなく、自分自身が迷子になってしまったら、人間はスタンプのような会話しかできなくなってしまう。そのメタファーなのか、居場所を無くした者たちはLINEスタンプになってしまう。おぱんちゅうさぎやガチャピンなどの版権キャラスタンプが出てくるから見ているのは楽しいが、ゾンビのような扱いだ。
現代人ならではの精神構造を描いた作品ではあるものの、説教臭くなく、あくまでエンタメとして消費し、リデコ版アクエリオンやサイバーフォーミュラーなど、河森監督ならではのお遊びも随所に散りばめられている。
大きく心をつかまれるような展開や感動を得られるというわけではなかったものの、観て損はない作品といえるだろうし、河森正治が自ら試写に足を運び、挨拶回りをしているのを見ると応援したくなる。
総合評価:77点



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