ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

この映画語らせて!ズバッと評論!!【第37回東京国際映画祭SP】『母性のモンタージュ』産後鬱を没体験……辛過ぎて観ていられない

この映画語らせて!ズバッと評論!!【第37回東京国際映画祭SP】『母性のモンタージュ』産後鬱を没体験……辛過ぎて観ていられない

作品情報

香港新界で夫と義理の両親と平凡な生活を送っているジェン。母となり、これまでの日常が一変、家庭での役割と自らの仕事の両立を否応なく求められる。レジリエンスが試され、アイデンティティを再定義することになるなか、母として揺れ動くジェンの心情の変化を深く見つめる。

『母性のモンタージュ』レビュー

まず言いたいのは、ウィメンズ・エンパワーメント部門には全くもって相応しくない作品である。というのも、今作は救いようのない鬱映画となっているからだ。エンパワーメントの要素がいったいどこにあるのだろうか……。

希望の光や兆しも見えない、とにかく鬱体験をさせられる作品なのだ。

子どもが生まれ、仕事にも復帰し、育児と仕事を両立させているジェンだが、どう上手くいかない。

母乳で育てたいという拘りがあると、ひと手間、二手間増えてしまうこともあり、義理の母には粉ミルクにするようにねちねちと言われるし、対して手伝ってもいないのに、愚痴だけは多い。そして夫も自分を育メンと自負しているが、オムツのサイズさえ知らない。

そもそも子どもは母と父で育てるものなのに、男の場合は、どうして”手伝う”となってしまうのだろうか。女は子育て、男は仕事という概念が現在でも蔓延っていることが、あたりまえに使われている言葉の中からもよくわかる。

他の人はちゃんと育児しているのに、どうして自分はできないのだろうか。育児のために仕事や自分のやりたいことは諦めないといけないのか…….。

そんな世間が、母親に対して植え付けている”あたりまえ””こうあるべき”という間違った概念に苦しむ主人公の気持ちは痛いほど理解できる。

しかし、映画やドラマであれば、そんななかにも一筋の光や、今後改善されていくであろう希望などがあってもいいのだが、今作はとことん主人公を突き放していくため、観ていてとにかく辛い。

中国ならではの、男の子ではなかったことへの冷たい目線も入っているのかもしれないが、今作で描かれている母親が立たされている環境というのは、どこの国にも通じるテーマである。

今まで他の作品などで、オブラートに包んで描いてきたけど、それでも気づかない人々に対して、とことん辛く辛く描くことで、それに気づかせる毒映画としてはかなり機能するだろうが、とにかく主人公が可哀そうだ。

点数 82

東京国際映画祭作品特集カテゴリの最新記事