作品情報
監督/脚本/製作:HIKARI
脚本/エグゼクティブ・プロデューサー:スティーブン・ブレイハット
製作:ジュリア・レベデフ
製作:エディ・ヴァイスマン
製作:山口 晋
撮影監督:石坂拓郎
美術:磯田典宏
美術:高山雅子
衣装:望月 恵
ヘアメイク:百瀬広美
出演 : ブレンダン・フレイザー
平 岳大
山本真理
柄本 明
ゴーマン シャノン 眞陽
- 110分
- カラー
- 英語、日本語
- 2025年
- アメリカ/日本
- ウォルト・ディズニー・ジャパン
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【ストーリー】
東京で暮らす落ちぶれた俳優フィリップは、日本での生活に居心地の良さを感じながらも、本来の自分自身を見失いかけていた。そんな中、“レンタル家族”として他人の人生の中で“仮の”役割を演じる仕事に出会い、想像もしなかった人生の一部を体験する。そこで見つける、生きる喜びとは?

日本には外国人タレントの多さで有名な稲川素子事務所というのがあって、「ザ!世界仰天ニュース」や「奇跡体験!アンビリバボー」などの再現VTRなどに出演している外タレは、ここからキャスティングされていることが多い。
ゾマホンやフィフィなどのバラエティー勢もいれば、『日本以外全部沈没』や『笑う大天使』(共に2006)などに出演していたデルチャ・ミハエラ・ガブリエラのように、少し有名になりかけた俳優もいたりする。ガブリエラ…今どうしているのだろうか……。
CMなども同様で、最近でいえばトミー・リー・ジョーンズのように、ハリウッドで活躍している映画俳優をキャスティングしているような特殊例を除けば、インパクトとなるようなネタキャラとして外タレが起用されることも多い。しかし、その外タレが、いったいどんな人なのかを知ることはあまりないだろう。
ブレンダン・フレイザーが演じる主人公フィリップも、そんな立ち位置に近い外タレ枠だ。かつて歯磨き粉のCMで人気を博し、今は再現VTRなどに出演し細々と俳優業をしている。それこそ稲川素子事務所の外タレこそがうってつけなキャスティングといえるが、そこはブレンダンが演じている。
ブレンダンといえば、確かに浮き沈みが激しい俳優というイメージもあるが、『ザ・ホエール』(2022)の演技がアカデミー賞含む、多くの映画賞で絶賛されてから、表舞台に戻ってきた過程を踏んでいるだけに、今作のキャラクター造形とも、少なからずリンクする部分は多いかもしれない。
結婚式や政治家の演説会場などの会場をスカスカにしないためエキストラを雇うことは普通にあって、とくに演説の席を埋めるバイトなどは求人誌に載っていることもあるのだから、何等かの理由で家族のふりをする、個人向けエキストラ会社のようなものとしては派生していったのが、レンタル彼氏とかレンタル彼女とかいった、レンタル〇〇事業だ。
そこには少なからず演技力が求められる場合もあるわけで、実は舞台俳優や仕事のない俳優が生活のために所属しているというのは、決してファンタジーな話ではないのだ。
いくら仕事、演技といえども、そのなかで特別な感情が芽生えてしまうのも無いわけではないし、そんな話もよく聞くわけで、そこにドラマ性を見出していくことも困難ではないだろう。
しかし、この手の入り口による人間ドラマは、レンタル〇〇というサービスが話題になり始めた2010年代後半から、ドラマや映画で割と多く制作されているし、12月にも上坂龍之介監督作『レンタル家族』が公開されるように、もはや使い古されたネタともいえるものにあえて手を出したことに対する、もう一歩踏み込んだものが、あまり見えてこない。
確かに落ちぶれた俳優の視点から描く葛藤としては見どころが無いわけではないが、今ひとつ、今作を傑作といえるほどまで押し上げてくれるインパクトが欠けてしまっている。それこそ『ザ・ホエール』に出演する前のブレンダンであれば話題になったかもしれないし、その他もろもろを含めても、少しばかり出す時期を間違えてしまった感じがしてならない。
決して悪い作品ではないのだが……。
総合評価:77点



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