ラジオ番組「バフィーの映画な話」Spotifyなどで毎週配信中!!

第38回東京国際映画祭作品レビュー:20:『エディントンへようこそ』

第38回東京国際映画祭作品レビュー:20:『エディントンへようこそ』

作品情報

監督/脚本:アリ・アスター

撮影監督:ダリウス・コンジ

美術:エリオット・ホステッター

編集:ルシアン・ジョンストン

衣装デザイン:アンナ・テラサス

音楽:ボビー・クルリック

音楽:ダニエル・ペンバートン

キャスティング・ディレクター:エレン・チェノウェス

出演 :

ホアキン・フェニックス

ペドロ・パスカル

エマ・ストーン

オースティン・バトラー

ルーク・グライムス

ディードル・オコンネル

マイケル・ウォード

  • 148分
  • カラー
  • 2025年
  • アメリカ
  • ハピネットファントム・スタジオ

© 2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.

【ストーリー】

2020年、コロナ禍でロックダウンされたニューメキシコ州の小さな町、エディントン。保安官ジョーは、市長テッドと“マスクをするしない”の小競り合いから対立し「俺が市長になる!!」と市長選に立候補する。二人の争いは周囲に広がっていき、SNSはフェイクニュースと憎悪で大炎上。同じ頃、ジョーの妻ルイーズは、カルト集団教祖の過激な動画に心を奪われ、陰謀論にハマっていく。 エディントンの選挙戦は、誰もが予想しなかった、観るものすべてを唖然とさせる圧巻のクライマックスになだれ込む。

コロナ禍に、マスクをしない人や営業しているお店に張り紙や嫌がらせをするマスク警察というのが発生したが、そもそもマスク着用は義務ではなく、任意だったはずだ。そしてワクチンもそうだ。

それなのに世間は、同調圧力に加担し、あたかもそれが正義であり、マスクをしない、ワクチンを打たない者が悪のように扱い、振舞ってきた。コロナ禍というものは、表面上の人間性ではなく、その下に隠された本質をあぶり出した機会といってもいいだろう。

ところが、そんな人々も今では普通の生活をし、芸能人や政治家のスキャンダル、企業の不祥事に正義風意見を何食わぬ顔で言い、拡散に加担する。

その過程になにがあって、そうなったかなんて気にもしないで、メディアやネットが垂れ流す、切り取られた情報が全てのように解釈してしまう。
そんな人々こそ、自分がコロナ禍で自分がどうしていたかなんて忘れてしまっているし、自分がそうであることを自覚していない。

つまり人間の関心や正義感の矛先などコロコロ変わり、忘れていく。今作は、そんなサイクルそのものを描いた作品で、現実こそが何よりもホラーなのだ。

ネットなんて小さな町と同じと良く言うが。逆に小さな町もネットと同じということだ。それをエディントンという街に見立てて、少しフィクション的にコーティングして描いただけで、現実そのものでしかない。

アリ・アスターは『ミッドサマー』のなかで、ひとつのコミュニティを異常なカルト集団のように描いたが、例えば新型コロナを知らない過去の人たちが、コロナ禍真っただ中の場所に迷い込んでしまったら、それは同じような体験に感じるかもしれない……。そういうこと。

総合評価:84点

東京国際映画祭作品特集カテゴリの最新記事