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第38回東京国際映画祭作品レビュー:04:『カザ・ブランカ』

第38回東京国際映画祭作品レビュー:04:『カザ・ブランカ』

作品情報

監督:ルシアーノ・ヴィジガル

出演:ビッグ・ジャウム

ジエーゴ・フランシスコ

ハモン・フランシスコ

95分/カラー/ポルトガル語/2024年/ブラジル

【ストーリー】

リオデジャネイロ州チャトゥバ郊外に住むデーは、家賃や医療費の支払いもままならないなか、親友らの助けを借りながらアルツハイマー病の祖母とふたり暮らし。余命わずかな祖母の看病を通じて、深い友情で結ばれてゆく3人のティーンエイジャーを描いた社会派青春ドラマ。

『シティ・オブ・ゴッド』(2002)の10年後の現状を追ったドキュメンタリー『Cidade de Deus: 10 Anos Depois』(2013)や『5x Pacificação』(2012)といった、自身が育ったスラムの現状を追った作品に参加してきたルシアーノ・ヴィジガルにとって、劇映画としては長編初監督作品となる。

新型コロナや3.11のときに税関の対応が上手くいっておらず、極端に混雑していたことを思い出すが、ブラジル政府による対応の遅さは、もはや有名であり、行政もパンク状態である。経済的に苦しくて、相談しようにも窓口にもたどり着けない状態。

日々の生活どころか、薬やおむつを買うお金すらない状態のなかで、YouTuberやコメディアンとしても知られるビッグ・ジャウム演じるティーンエイジャーのデーは、認知症が進み、ほぼ寝たきり状態の祖母・アウメリンダを親友たちの助けを借りながら介護している。父親は別に家庭を持って出ていってしまい、訪問看護も来てはくれるのだが、もうどうにもできない、死を待つだけとしか言ってくれない。病院もよほどのとがないと救急対応してくれない。日本でそういったことがないわけではないし、どこの国に叩けば何かしら出てくるだろうけど、ブラジルもかなり深刻に感じる。

意思疎通もままならない祖母に少しでも希望を持たせてあげようと、過去の幸せそうだった頃の写真に写る思い出の地を巡ることにするが、それも上手くいかない。

政府も行政も医療もシステムが整っていない状態なのだから、若者たちは、いったい何に希望を見出せばよいのだろうか……。そんな怒りや不安を表現するツールとして音楽は存在するが、とくにブラジリアン・ヒップホップの源はそこにあるように感じた。

近年、ブラジリアン・ヒップホップが急激に知名度を増してきているが、ブラジルという国のおかれている状況から、もはや社会問題を音楽やアートとして発散するしかない状況が今作を観ていると、自然と透けて見えきたのである。

ルシアーノは、音楽の分野にも造詣が深く、後半では、地元のアーティストもカメオ出演してライブシーンで盛り上げるといった、音楽映画としての側面を強くしており、最終的にヒップホップ映画として着地させている。

総合評価:80点

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