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第38回東京国際映画祭作品レビュー:02:『雌鶏』

第38回東京国際映画祭作品レビュー:02:『雌鶏』

作品情報

  • 96分
  • カラー
  • ギリシャ語
  • 英語、日本語字幕
  • 2025年
  • ギリシャ/ドイツ/ハンガリー

【スタッフ/キャスト】

監督/脚本:パールフィ・ジョルジ

脚本:ルットカイ・ジョーフィア

撮影監督:ジョルゴス・カルヴェラス

音楽:スーケ・サボルチ

出演:ヤニス・コキアスメノス

マリア・ディアコパナヨトゥ

アルギリス・パンダザラス

雌鳥(エスティ、サンディ、フェリ、エンチ、エティ、エニクー、ノーラ、アネット)

【ストーリー】

養鶏場から搬送中に逃走したニワトリが、かつてレストランだった建物の中庭に一時的な避難の場所を見出す。だが、そのニワトリが生み出す卵をめぐって人間たちが争いを起こし、ニワトリは卵を守るために立ち向かう…。

ハンガリー出身映画監督パールフィ・ジョルジによるドキュメンタリーと劇映画を融合させた新感覚アドベンチャー。初長編監督作『ハックル』(2002)でもドキュメンタリー的な演出多く感じたが、今作はまた違ったテイストとなっている。

『EO イーオー』(2022)や『ストレイ 犬が見た世界』(2020)などもあるし、TIFFといえば、動物視点の映画が大好物。今年『バード ここから羽ばたく』と合わせて、アンドレア・アーノルド特集としても劇場公開された『牛(Cow)』(2021)はその名の通り牛視点で、前回上映された『ペペ』(2024)はカバ、しかも亡霊カバという特殊な視点だった。さて今作は、タイトルの通り雌鶏視点の物語である。

この手の作品で多いは、人間というものを、動物の視点を通して俯瞰的見せるということで、その不器用さや愚かさ、滑稽さというものを映し出すというタイプのものだ。今作にもその側面は十二分にあるが、何と言っても劇映画としてとても優れていた。

まず卵が産み落とされるところから始まり、工場に運ばれ、流れ作業でヒヨコが雄と雌に仕分けされていく。『いのちの食べ方』(2005)など食品系ドキュメンタリーではお馴染みの映像かもしれないが、改めて見ると、鶏の人生(鶏生?)は人間社会による被害を大きく受けているのだと感じる。

それはさておき物語の本筋は、一匹の黒い雌鶏が輸送途中でトラックから脱走するところから始まる。名もなき雌鶏は、初めて見る外の世界に困惑し驚きと戸惑い、好奇心といった感情処理が追い付かない。今作の凄いところは、それを雌鶏から読み取れるようにしているところだ。ほかにも理想的な雄と出会ったときのときめきや恋愛的駆引きなども透かしてみせるといった見事な演出。しかもCGIやAIなどを使用していないのだ。

そんな雌鶏の表情を見ていると、当たり前ではあるが、鶏にも感情がある生き物だと改めて痛感する。リアリティベースのなかにも突然、キツネが現れ、追いかけっこに。このシーンはディズニーやイルミネーションといったアニメ映画の要素も多く感じた要因は、『ダスト・バニー』(2025)や『エイリアン:ロムルス』(2024)といった、ハリウッド映画などで動物のコーディネーターのアルパード・ハラスが付いていると聞いて納得した。

声優による吹替えやナレーションが入るわけではないが、『三匹荒野を行く』(1963)、あるいはリメイクの『奇跡の旅』(1993)を観ているようなアドベンチャーがそこにあったのだ。

カイロの裕福な家庭でメイドとして働く8歳の少女トハ。トハは、雇い主の娘で親友のネリーの誕生日パーティを開くために奔走する。それは親友の誕生日を一緒に祝いたいためだったが、そんなトハの前に現実が立ちはだかる。

総合評価:85点

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