作品情報
【ストーリー】
1950年、南イタリア・ナポリで生まれた赤ん坊は、人魚の名でナポリの街を意味する“パルテノペ”と名付けられた。美しく聡明なパルテノペは、兄・ライモンドと深い絆で結ばれていた。年齢と出会いを重ねるにつれ、美しく変貌を遂げてゆくパルテノペ。だが彼女の輝きが増すほど、対照的に兄の孤独は暴かれていく。そしてあの夏、兄は自ら死を選んだ…。彼女に幸せをもたらしていた<美>が、愛する人々に悲劇を招く刃と変わる。それでも人生を歩み続けるパルテノペが果てなき愛と自由の探求の先に辿り着いたのは――。
【クレジット】
監督:パオロ・ソレンティーノ『グレート・ビューティー/追憶のローマ』『グランドフィナーレ』
出演:セレステ・ダッラ・ポルタ、ステファニア・サンドレッリ、ゲイリー・オールドマン、シルヴィオ・オルランド、ルイーザ・ラニエリ、ペッペ・ランツェッタ、イザベラ・フェラーリほか
原題:PARTHENOPE|2024|イタリア、フランス|137 分|カラー|ドルビーデジタル|シネスコ|字幕翻訳:岡本太郎|R15+
後援:イタリア文化会館
配給:ギャガ
8月22日(金)新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下他全国順次ロードショー

映画・インド現代音楽評論家バフィー吉川が試写で観た作品(たまに劇場で観た作品)をレビュー・紹介する徳間書店エンタメネクスト連載の「何観る週末シネマ」が一旦終了(毎月の映画コラムは継続、11月のインド映画『キル』のみは掲載)するにあたって、こちらに移行しました。またnoteの方でも毎週(作品が少ない)場合は隔週に「新作映画ちょこっとレビュー」も公開中!!
ファッションハイブランド「サンローラン」の映画製作会社サンローランプロダクションが手がけた、パオロ・ソレンティーノによるおしゃれ映画に思えるかもしれないし、実際にそういった側面もある作品ではある。それでいて、サンローランのステルスマーケティングもあったりするものの、A24も関わっていることを忘れてはならない。なかなかのクセもの映画だ。
美貌の持主として多くの男女を魅了してきたパルテノペだが、彼女は常に純粋である。というよりも無色という色をもっているというべきかもしれない。何に染まらないし、先入観というものを持ち合わせていないかのようで、極力、自分の意思は控えているが、唯一、自分の想いのままに行動した結果として、大切な兄を喪ってしまう。それが彼女に深い傷を負わせ、同時に独自の道を模索することになるのだ。
そんなパルテノペが大学で学んでいるのは、人類学。つまり先入観を持たない彼女の目線から、様々な人物が深堀されていく。
そのなかで、若い男女が多くの観客の中でセックスをさせられるシーンがある。先入観をもって見ると、その光景は異常としか言いようがないし、さすがにそのときはパルテノペも体が動きそうになる。しかしその異常さというのは、あくまで、それを見ている自分の先入観からくるものでしかない。国や地域、コミュニティによっては当たり前のことが、外部からの視点で見ると異常に映ることなんて世界には山ほどあるわけで、しかも人類学を学ぶ立場としては邪魔なものに他ならない。
それでさらに肝が据わったのか、パルテノペの探求心はさらにディープな道に進んでいく。人類学というものを追及していくことで、自分自身の幸せからは遠ざかるような気がしながらも彼女の好奇心と探求心は、後世に繋がる貴重な遺産として引き継がれていくのだ。



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