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新作映画紹介『ROMAローマ』メキシコで育ったアルフォンソ・キュアロンの半自伝的作品!!

新作映画紹介『ROMAローマ』メキシコで育ったアルフォンソ・キュアロンの半自伝的作品!!

作品情報

『パリ、ジュテーム』『天国の口、終わりの楽園』などのアートや独立系作品と並行して『ゼロ・グラビティ』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』など大作映画の製作もすることで知られるメキシコの鬼才、アルフォンソ・キュアロン監督による、メキシコシティの中流家庭を描き、その中でアルフォンソ・キュアロン監督自身、メキシコシティで育った時の経験をキャラクター達に投影しており、フィクションでありながらも半自伝的作品となる。

70年代初頭のメキシコシティ。医者の夫アントニオと妻ソフィア、彼らの4人の子どもたちと祖母が暮らす中産階級の家で家政婦として働く若い女性クレオは、子どもたちの世話や家事に追われる日々を送っていた。そんな中、クレオは同僚の恋人の従兄弟である青年フェルミンと恋に落ちる。一方、アントニオは長期の海外出張へ行くことになり……。

Romaいうタイトルは『ローマの休日』などで知られるイタリアのことではなく、メキシコシティのコロニア・ローマのことを指している。

劇場用映画ではなく、動画配信サイトNetflixが配給権を獲得したため、配信用映画となる。しかし、数々の映画賞で上映され、評価を獲たことでのちに劇場で限定公開などもされ、アカデミー賞にノミネートされることとなった。

劇場用映画ではないが、通常の映画に劣らないクオリティの作品で各メディアもこぞって作品を評価している。

もし受賞した場合、配信用映画の歴史を変えることとなり、今後の映画のあり方というのも考えなくてはならない展開へと発展する。

主演は本当の意味での新人女優

メキシコの名女優マリーナ・デ・タビラの演技も光るが、それ以上に注目されたのは主演のヤリッツァ・アパリシオ。ヤリッツァは映画どころか舞台などにも出演したことが全くなく、実は保育学校の教師という異例の新人女優であり、この作品が女優デビュー作となる。

過去のアカデミー賞でも新人女優がノミネートされることは過去にもあり、例えば『ドリームガールズ』のジェニファー・ハドソンは舞台の経験があり、元『アメリカン・アイドル』の出場者。新人であっても業界での経験がある者が多い。第82回アカデミー賞に『プレシャス』でノミネートされたガボレイ・シディベ以来の本当の意味での新人女優のノミネートではないだろうか。

ガボレイ・シディベは残念ながら受賞はできなかったが、その後ベン・スティラー主演の『ペントハウス』やドラマシリーズ『Empire 成功の代償』に出演するなど『プレシャス』以降も女優として活躍している。

ヤリッツァは、作品自体が多数の賞を受賞・ノミネートしていることもあり、すでに情報番組などのメディアにも出演しており、次回作も決定するなど、今後も女優として忙しくなりそうだ。

正にアートの様な映像美


当時を生き、その場を体験してきたからこその、アルフォンソ・キュアロンの記憶と映像のシンクロをモダンでクラシカルかつスタイリッシュなモノクロ映像で表現することで、何気ない1シーン1シーンが正にアート。ポストカードとして使えそうな画の数々(笑)

アートに転換されたアルフォンソ・キュアロンの頭の中の記憶を覗かせてもらおう!!

Netflixの未来がかかっている?!

Netflixは今までにも『デスノート』のリメイク、ジェイク・ギレンホークやサンドラ・ブロックなど映画と同じ俳優を起用した『オクジャ』『バード・ボックス』『クローバーフィールド・パラドックス』『セカンド・アクト』、テレビシリーズでは『スクリーム』『リバーデイル』『デアデビル』『ストレンジャー・シングス』などハイクオリティなオリジナル作品を多数輩出してきているが、その最高潮と言うべき作品がこの『Romaローマ』

今までにも配信用映画を映画として評価され、配信用映画がアカデミー賞にノミネートされたこと自体が映画界の歴史を揺るがす大事件ではあるが、Netflix はノミネートだけを喜んでいる現状ではないということだ。と言うのも2019年にはディズニーによるストリーミングサービス「ディズニー・プラス」の登場が控えているからだ。

日本での配信状況など、まだ詳細については不明となっているものの、ディズニーはもちろん、買収したルーカス・フィルム、マーベル、そしてFOXの作品が使用できるという最強のコンテンツで、すでにディズニーの『わんわん物語』の実写版、『モンスターズ・インク』のテレビシリーズ、『ハイスクール・ミュージカル』の新シリーズ、『スター・ウォーズ』のドラマ2作品、マーベルのドラマ『スカーレットウィッチ&ヴィジョン』『ロキ』『レディ・シフ』など、『X-MEN』『アバター』『エイリアン』のオリジナル作品などなど。

更にHuluの株を3割所有しているため、Huluも取り込まれるのではないかと言われている

Huluもオリジナル作品を製作してきてはいたが、映画に関しては少し差をけられていたこともあり、ディズニー・プラスの登場で一気に加速する可能性も高いことから、 Netflix としてはとにかく今、話題を作って登録者数を確保していかなければならないという際どい状況なのだ。

作品自体、実にアート的で素晴らしいのだが、常識を覆すノミネートの裏にはNetflixがストリーミングサービスの頂点でなければならない者たちの力が動いている気がしてならないのは私だけだろうか...。

どうなってる舞台裏の政治的駆け引き、どうなるストリーミングサービスの未来!!

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