作品情報
『マレフィセント2』『20センチュリー・ウーマン』のエル・ファニングが主演し、本格的な歌唱シーンにも挑戦した青春音楽ドラマ。イギリスのワイト島で、移民として母子家庭で育った内気な少女ヴァイオレット・バレンスキは、現実の世界から自分を解き放ってくれる音楽を心のよりどころに生きていた。ある時、国際的に有名な人気オーディション番組「ティーンスピリット」の予選が地元で行われることを知ったヴァイオレットは、退屈な田舎町を抜け出して歌手になる夢をつかむため、オーディションに挑む決意をするが……。監督・脚本は、名匠アンソニー・ミンゲラを父に持ち俳優としても活躍するマックス・ミンゲラ。製作に『ロケットマン』『リトル・ダンサー』の俳優ジェイミー・ベル。
『ティーンスピリット』レビュー
才能はあるが、家庭の事情だったり、経済状況だったりで田舎娘がスターになっていくというシンデレラストーリー構造はよくある設定であり、実際にオーディション番組でも、そういった境遇の出場者は多い。
私は『アメリカン・アイドル』『the Voice』『Xファクター』『アメリカズ・ゴッドタレント』等のあらゆるオーディション番組を観てきた側から言わせてもらえば、おそらく『Xファクター』に大きく影響を受けている演出だと思うが、こんな酷いオーディション番組はない!!
何が酷いかというと、オーディション番組をなめているとしか言い様がないからである。
例えば『アメリカン・アイドル』を例に挙げるのであれば、ジェニファー・ハドソンやドートリー、エリオット・ヤミンなど優勝者でなくてもデビューできるレベルの者同士の勝ち抜きバトルであるのに、エル・ファニングの歌唱力では説得力が全くないし、あの程度の歌唱力で挑んだとしたら奇跡的にトップ12に入れればいい様なもので、優勝なんて夢物語である。
前回の優勝者も登場するが、これまた歌唱力が酷い…これではオーディション番組ごっこである。もう少し歌唱力がある出演者を集められなかったのだろうか…歌唱力が足りていないという部分でリアリティが無くなってしまっている。
出場者の紹介VTRや決勝戦進出者が集まってパフォーマンスをするというオーディション番組によくある光景を作りだしているのだが、全体的にオーディション番組の知識が足りていないとしか思えないのである。
今やオーディション番組の決勝戦といえば、国中が見守る大イベントであって、現役の大物ミュージシャンのパフォーマンスも話題となるほどだが、今作の決勝戦はかなり貧相であるし、何よりこんなに暗くて寂しいオーディション番組はない。
今作でエル・ファニングは3カ月の歌のトレーニングを受けて挑んでいるのだが、キャスティングしてから歌わせるのではなくて、はじめから歌唱力のある女優をキャスティングしなかったがために、こんな悲惨な事態が起きてしまったのだ。
致命的にエル・ファニングの歌声は心を打つものがない。近年の作品で例を挙げるのであれば『アリー/スター誕生』では、レディーガガが演じるアリーが初めてステージで「シャロウ」を歌うシーンは心を打ち、感動させる。こういった心を打ち、動かすシーンがあれば実は大部分が成り立つのが音楽映画のおもしろい部分であるのだが、残念ながら機械的な歌唱シーンしかない
点数 60点
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