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THE映画紹介『グレムリン2 新種誕生』続編という概念をブチ壊したメタ続編

THE映画紹介『グレムリン2 新種誕生』続編という概念をブチ壊したメタ続編

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『グレムリン2 新種誕生』

作品情報

不思議な動物モグワイから派生する凶暴なグレムリンが巻き起こす騒動を描くホラー・コメディのシリーズ第2弾。エグゼクティヴ・プロデューサーはスティーヴン・スピルバーグとキャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、製作はマイケル・フィネル、監督は『メイフィールドの怪人たち』『ハウリング』のジョー・ダンテ、脚本はチャールズ・S・ハース、撮影はジョン・ホラ、音楽はジェリー・ゴールドスミスが担当。出演はザック・ギャリガン、フィビー・ケイツほか。

『グレムリン2 新種誕生 』基本情報

1990年製作/アメリカ
原題:Gremlins 2: The New Batch

監督: ジョー・ダンテ

出演 : ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、クリストファー・リー、ジョン・グローバーなど

前後のバックス・バニーの意味

90年代のワーナー映画には、バックス・バニーの短編が同時上映されることがあった。例えば『バットマン リターンズ』にも「WATER WATER EVERY HERE」という短編が同時上映された。

しかし、今作に関しては同時上映ではなく、映画の中に含まれているのだ。

監督のジョー・ダンテは『グレムリン』をファンタジーやホラーという考え方よりもカートゥーンのようだと考えていたことから、バックス・バニーを前後に登場させることでカートゥーンで始まり、カートゥーンで終わるということを演出したかったのだ。

この時点では、もし続編が製作されるとしたらアニメーションにしたいという考えもあったのだが、その意思はHBO Maxで配信予定の新作アニメーションシリーズに受け継がれているのかもしれない。

ドナルド・トランプをモデルとしたキャラクターに偶然の一致

ビリーとケイトが働くクランプ・タワーの会長でもあり、映画では大きな役割を果たすダニエル・クランプ。

モデルになっているのは、その名の通り、当時は不動産王として知られ、ボードゲームなども発売されていたドナルド・トランプ。今のアメリカ大統領である。

『ホーム・アローン』にも登場するなど、当時から世間が注目していた人物であることを改めて実感する。

映画的お遊びがしやすい様に、撮影スタジオから生物研究所、おもちゃ屋、歯医者などあらゆるジャンルの企業やショップが集まった複合施設クランプ・タワーが映画の主な舞台となるのだが、ビリーの上司マーラがダニエルに色目を使うシーンがあるが、偶然にもその後ドナルド・トランプの2番目の妻の名前もマーラであった。

クリーチャーデザインが一新、より個性が満載に

1作目と違う部分は、いくつかあるが一番特徴的な変更点は、ギズモやグレムリン達のデザインだ。ギズモは少し大きくなり、動きも前回と比べればスムーズになったことで、ビリーがいつも抱っこしてなくても移動ができるようになった。

ギズモに水がかかり、誕生してしまう悪いモグワイ達も、前作の似たデザインではなく、色や表情などで1匹1匹特徴を持たせていて、グレムリン化した後でも都合が良いことに、なんでもある複合施設ということで、より特徴的なグレムリンが誕生することになる。

蜘蛛の遺伝子や蝙蝠の遺伝子と組み合わせることで、より凶悪なグレムリンが登場してくるわけだが、日焼け止めの遺伝子や電気の遺伝子など、もはや遺伝子なんてあるはずのないものまで登場してきて何でもあり状態…『仮面ライダービルド』じゃないんだから…というか元ネタはこれか??

予算は前作の約3倍となり、その25%がクリーチャー造形に使われ、リック・ベイカーも参加し、パペットは300体以上作られた。

クライマックスでは150人のオペレーターでグレムリンを操っていたとか。

モグワイの記憶能力を活かしたシーン

モグワイの特徴として、記憶力、学習能力が強いという設定があり、実は非常に頭の良い生物。言語も覚えるのが早いのだ。

1作目ではギズモがレース映画を観ていたことで、ラストではおもちゃの車の運転をするシーンがあった。

今回は、ケーブルテレビでたまたま放送されていたシルヴェスター・スタローン主演映画『ランボー』を観たことで、ランボーのように弓矢攻撃を覚えていたのだ。

当初はロビンフッドや作品を『燃えよ!ドラゴン』にしてヌンチャクを振り回すシーンなどが企画されていたが、『ランボー』で落ち着いたようだ

冒頭では、中国人店主が「テレビなんか観てるとバカになる」と言うケーブルテレビが普及してきたアメリカを批判するようなシーンがあるが、結果的にケーブルテレビをギズモが観ていたことによって、救われたのだ。

ケイトのトラウマ問題がギャグに

前作では、あまりにも奇抜だったことで、カットするように会社から言われたものの、結局カットしないで公開して、重役たちに怒られたといわれる、ケイトの父親死因問題があった。

ケイトの父親は、クリスマスの日にサンタクロースのコスプレをして驚かせようとした際に煙突から落ちて首の骨を折って死亡したのだ。

その経験によって、ケイトはクリスマスが嫌いという設定にされたのだが、今作では、リンカーンにもトラウマがあるらしく、リンカーンという言葉を聞いた途端、自分のトラウマについて語りだすが、みんな聞いてなくてスルされてしまうというギャグシーンになっている。

短評

前作では、銀行で働きながら漫画家を目指していたビリーだが、新たな職場では企画デザイン担当の職につき、会社のデザイン画を描くという絵にまつわる職にはついたものの、漫画家という夢は諦め、現実を見ているようにも感じられるが、オフィスにはコミックが置いてあったりと、まだ夢が捨てきれていない部分も提示される

一方、同じく銀行で働いていたケイトは、クランプ・タワーでガイドの仕事をしている。ビリーとケイトは、同棲中であり、結婚の機会を伺っているような時期に、またしてもかつての悪夢が蘇ることになる。

監督は、前作に続きジョー・ダンテが続投しているが、ジョー・ダンテという監督は、続編映画をあまり好ましく思っておらず、今回の続編製作は監督人生において異例中の異例である。

ジョー・ダンテがそれでも何故、監督を引き受けたかというと、好きなことをしていいし、予算もたくさん出すという自由度の高さからだったのだ。

それもあって、単純に続編というよりも、設定を引き継いだメタ要素の強いお祭り映画という印象の作品となった。

続編を嫌う皮肉からか、続編ということ自体をパロディ化してしまっていて、冒頭のニューヨークの街のシーンでは、かなり小さいが『ハウリング11』が公開されていることになっている。

人気が出た作品は大量にフランチャイズ化してしまおうという風習が一般化しだした、90年代の映画業界風刺を続編映画の中でやってしまうのも、いかにもジョー・ダンテらしいとも言えるだろう。

ハルク・ホーガンが本人役で登場したり、実際の『グレムリン』を暴力的な酷い映画と批評した映画評論家がグレムリン達に襲われるなどといった、突拍子もないネタから『マラソンマン』や『オペラ座の怪人』などの映画のパロディ、意味深な風刺ネタまで満載で楽しめないシーンを見つける方が難しいぐらいだ。

ジョー・ダンテ監督作品6選

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