THE映画紹介とは?
THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。
アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!
今回紹介するのは『グレムリン』
作品情報
クリスマス・プレゼントのペットが異常繁殖して町中が大混乱になるというデザスター・コメディ。製作はマイケル・フィネル。エグゼクティヴ・プロデューサーはスティーヴン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ。監督は『ハウリング』『ピラニア』のジョー・ダンテ。脚本は『俺達の明日』のクリス・コロンバス、撮影はダンテ作品常連のジョン・ホラ、音楽はジェリー・ゴールドスミスが担当。グレムリン創造はクリス・ウェイラス、特殊効果監修はボブ・マクドナルド・シニア。出演はザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、ホイト・アクストン、フランセス・リー・マッケインなど。
『グレムリン』基本情報
1984年製作/106分/アメリカ
原題:Gremlins
監督: ジョー・ダンテ
出演 : ザック・ギャリガン、フィービー・ケイツ、ホイト・アクストン、フランセス・リー・マッケインなど
冒頭のシーンはある映画のセットを一部使用
映画の冒頭に登場するチャイナタウンだが、1982年の映画『ブレードランナー』に登場したチャイナタウンに雰囲気が似ている。これはスタジオ・セットを手掛けたプロダクション・デザイナーが『ブレードランナー』のセット組み立てたジム・スペンサーであったからだ。
『ブレードランナー』のセットの一部も使われている。
映画館で上映されている作品タイトルに注目!!
冒頭で主人公ビリーが、愛犬を連れて映画館の前を通り過ぎるカットがあるが、この映画館で上映されていたタイトル『A BOY’S LIFE』と『WATCH THE SKIES』はあるスピルバーグ作品の初期タイトルである。
『A BOY’S LIFE』は『E.T.』
『WATCH THE SKIES』は『未知との遭遇』
一瞬しか映らないシーンであるが、スピルバーグ映画は小ネタの宝庫なのである。
ギズモの名前の由来、モグワイとは?
デザインはヨーダ、イウォーク、ETを組み合わせ、コアラのように仕上げたともいわれている。
ギズモの名前の由来は、俗語で「新製品」という意味だ。見たこともない新しいモンスターという意味でギズモと名付けられたが、そもそもモグワイとは何だろうか。
モグワイというのは、中国の方言で「モンスター」という意味である。
モグワイは実は宇宙生物であることがノベライズ版では語られていて、モグワイという種族はモグターメン博士という発明家が創り出した。
モグターメン博士は、地球ではない惑星で、どんな環境条件でも適応できて増殖をする大人しく知的な生物モグワイを1匹地球に送り込んだものが、たまたま台湾にいた中国人の老人に拾われ、育てられるようになったという、映画では全く語られない裏事情もあるのだ。
初期脚本は生首が転がるシーンがあった
『グレムリン』はギズモの可愛らしさが独り歩きして、ファミリー映画のように思われがちだが、死者を多数出す映画でもある。
スピルバーグといえば『E.T.』のイメージがあったため、当時はハートフルな映画だと思って観た人も多かったため、暴力的だと批判されることもあった。
それもそのはず、ニューヨーク大学在学中だった頃に、クリス・コロンバスによって執筆された『グレムリン』の初期脚本は更にホラー要素の強い作品で、ビリーの母親の生首が階段から転がってきたり、犬が食べられるなど、もっと残酷な殺人描写が多数あったのだ。
短評
奇抜な発明ばかりしている父親からクリスマスプレゼントとして不思議なペット「モグワイ」を貰ったビリー。
「モグワイ」には3つのしてはいけないルールがあった。
1.水を与えてたり、浴びせたりしてはいけない
2.日光を当ててはいけない
3.午前0時過ぎに餌を与えてはいけない
そもそも、そんな面倒くさい危険な生物をプレゼントする父親も父親だし、父親は、ほとんどグレムリン騒動に関わらないから、なかなか無責任である。
町もめちゃくちゃになって、死人も出てるのだが、これ誰の責任かっていうとビリーの父親とビリーの責任なのである。
虎をペットとして買っている富豪なんかがいるが、この虎が逃げ出して人を殺したり、物を破壊したりした場合、虎の責任にはならないわけで、当然ながら飼い主の責任となるわけだ。
人間の都合で連れてこられて、モグワイがグレムリン化してしまって、暴れ出してしまったら、容赦なく殺すという人間のペットに対するエゴの部分を皮肉ったような作品である
近年にリリースされたDVDやプロモ写真を見ると、2作目のギズモの写真を使っているものが多いため、本編を観るとギズモのデザインのギャップに驚くかもしれない。1作目のギズモは猿のような顔で技術と予算の都合上、ほとんど動かせないということから作り物感が半端ない。
2作目と比べると、予算とスケジュールがギリギリだったことから、パペットが間に合わない部分をシルエットで誤魔化したり、見えない部分は作られていなかったりと大変な現場だったのだが、それを感じさせない努力は間違いなく、評価できる部分であって、メイキングを観た後で作品を観るとまた違った観方ができる作品だ。
監督のジョー・ダンテと脚本のクリス・コロンバスは過去にマンガ家を目指していた経験があることから、ビリーはマンガ家志望という設定にしているのだが、自信の経験をふまえて、その夢は実現しておらず、銀行の仕事をしながら機会を狙っているという現実の厳しさと当時のアメリカ市民の経済的状況において、夢ばかり追いかけていられないという実情をビリーに反映させているのだ。
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