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発掘!未公開映画研究所『ヘアスプレー ライブ!』舞台でも映画でもないテレビ版ならではの豪華さに注目!

発掘!未公開映画研究所『ヘアスプレー ライブ!』舞台でも映画でもないテレビ版ならではの豪華さに注目!

作品情報

映画化もされたブロードウェイ・ミュージカル『ヘアスプレー』をテレビ局のNBCが生放送ライブ版として2016年12月に放送した作品。主演のマディ・バイリーオは新人ながらデビュー作が生放送。『ドリームガールズ』『キャッツ』のジェニファー・ハドソンや歌手のアリアナ・グランデに加え、ミュージカル経験豊富な女優クリスティン・チェノウェスも参加した超豪華ライブ版。

発掘!未公開映画研究所とは?

宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。

それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。

日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。

「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!

今回紹介するのは『ヘアスプレー ライブ!』

オリジナルキャストも多数出演

ジョン・トラボルタの映画版エドナを観てしまっていると、今作でのハーヴェイ・ファイアスタインが演じるガラガラ声のエドナに違和感を感じてしまう人がいるかもしれないが、このガラガラ声こそが本家なのだ。

ハーヴェイ・ファイアスタインは2002年から、同役を演じてトニー賞を受賞している。

カルト映画版『ヘアスプレー』でトレイシーを演じていたリッキー・レイクと舞台版でトレイシーを演じたマリッサ・ジャレット・ウィノカーもカメオ出演している。

短評

映画版『ヘアスプレー』では、1000人におよぶオーディションから勝ち抜いたニッキー・ブロンスキーがトレイシーが選ばれたが、今回も新人マディ・バイリーオを発掘してきた。

ニッキー・ブロンスキーが体型のわりにキレキレ過ぎたせいもあるのか、若干ぎこちない感じがしないでもないが、独自のトレイシー像を見事に作りあげている。

NBCやFOXのミュージカル・ライブもそうだが、映画版や舞台版と違った豪華さを演出するうえでのキャスティングはとても魅力的であり、アリアナ・グランデやジェニファー・ハドソン版の『ヘアスプレー』が観られるというだけでも幸せな気分になる

ダヴ・キャメロンとクリスティン・チェノウェスは『ディセンダント』に引き続き親子役で共演しているなど、若い世代へのウケを狙っていながらも、作品としてのクオリティは保っているのが素晴らしい。

個人的には、ジェニファー・ハドソンがソウルフル過ぎるため、パワーバランスをもう少し考えてほしかったというのは正直なところだ。

中盤のモーターマウス率いる黒人グループを描くシーンでは、 ジェニファー・ハドソンの歌声の持つ力が上手く機能しているだが、ラストの「You Can’t Stop the Beat」は、もう少し軽い感じで歌わないと、ストーリーの重い部分と軽い部分のコンタラストにできないようにも感じた。

『ヘアスプレー』という作品は、人種差別という重いテーマを描いていながら、最終的にポップな作品に変換してしまうという作品なだけに、ジェニファー・ハドソンはある意味、責任重大だったのだ。

その点、映画版のクィーン・ラティファは絶妙なバランスで演じていたように思える。

どうしても映画版や舞台版と比べて観てしまうのだが、それこそが今作の醍醐味ではないだろうか。

映画的加工ができない分、音楽のメリハリが微妙な部分もあったりするのだが、何しろ生放送ということを理解して観てもらいたい…息切れもするさ…踊りながら歌うのって大変なんだから!

そこも含めて素晴らしい作品である。日本ではソフト化はされていないが、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービスの有料コンテンツで観ることが可能だ。

アンコールのジェニファー・ハドソンとアリアナ・グランデの異色のデュエットだけでも価値のある作品だ。

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