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THE映画紹介『ブリングリング』ソフィア・コッポラが独自の視点でSNSが作り出した新たなモラルに問題提議

THE映画紹介『ブリングリング』ソフィア・コッポラが独自の視点でSNSが作り出した新たなモラルに問題提議

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『ブリングリング』

作品情報

『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』のソフィア・コッポラ監督が、米ロサンゼルス・ハリウッドで発生したティーンエイジャーによる窃盗事件を題材に、欲望のままに犯罪に手を染めていく少女たちを描いた青春ドラマ。ハリウッドセレブが邸宅を構える高級住宅街カラバサス。セレブたちの華やかな生活にあこがれる少女ニッキーら5人組は、いたずら半分にセレブの豪邸をインターネットで調べ、空き巣を繰り返してブランド物を次々と盗み出していく。出来心ではじめた冒険だったが、やがて5人は後戻りのできないところまで足を踏み入れてしまう。ニッキー役に「ハリー・ポッター」シリーズ、『美女と野獣』のエマ・ワトソン。実際に事件の被害にあったパリス・ヒルトンが自宅をロケ地として提供した。

『ブリングリング』基本情報

2013年製作/90分/R15+/アメリカ・フランス・イギリス・日本・ドイツ合作
原題:The Bling Ring

監督: ソフィア・コッポラ

出演 : エマ・ワトソン、ケイティ・チャン、クレア・ジュリアン、タイッサ・ファーミガ、レスリー・マンなど

ブリングリング事件とは…実際の被害者が撮影に協力?!

物語のベースとなるのは、2008~2009年にロサンゼルスで実際に起きた窃盗事件である。パリス・ヒルトン、リンジー・ローハン、オーランド・ブルームといったセレブ達の自宅が”ブリング・リング”と呼ばれる10代の男女グループによって狙われ、宝飾品や靴、バッグなど高価なものが総額3億円以上も盗まれたのだ。

実際の被害者であり、1度ではなく、数回も入られていたパリス・ヒルトンだが、今作のために自宅を撮影場所として提供したため、今作に登場するパリスの家や内装、宝飾品など全て本物なのだ。

パリス・ヒルトンの自宅を観られるという点で違った楽しみ方もある作品だが、気になるのは….自分の写真の多さだ。

SNSによる個人情報垂れ流し問題

ブリング・リングの被害者となったスター達は、何故留守であることが知られていたのか…それはSNSが原因である。

フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどでパーティやプレミアなどに参加している様子を投稿することで、自宅にはいないということがバレてしまうのである。

これは、何もスター達だけに限られたことではない。バケーションシーズンに海外旅行に行った際に、現地でSNSに投稿したことで、留守であることが知られ、空き巣に入られるという事件が日本でも多発しているのである。

そんなSNSによる個人情報垂れ流しの怖さを、2013年にいち早く描いた作品でもあるのだ。

短評

ソフィア・コッポラ監督作品と聞くと、まず思い浮かべるのが「色彩感覚」と「音楽」である。

今作は、クライム映画ではあるが、ソフィア・コッポラ独特の色彩感覚と音楽センスによって、独特の雰囲気を持った、おしゃれムービーに仕上がっている。

『マリー・アントワネット』では、小物やお菓子がコントラストになっていたが、今作ではセレブ達の宝飾品やバッグなどがコントラストに使われているのだ。

何気ない日々に嫌気がさして、刺激を求めている10代の物語でもありながら、SNSによって作られた、現代人の新たなモラルへの問題提議ともなっている。

ソフィア・コッポラは、この事件を描くことで、「私たちが直面している様々な問題」がみえてくると言っている。

ショッピング感覚で窃盗をして、堂々と盗品を身に着け、派手に遊びまわっていたブリング・リング。

そんなことをしてたら、捕まるのあたりまえでしょ…と思うかもしれないが、それが理解できていなかった10代ならではのおバカさとSNSが作り上げた新たなモラルによって、バレるかもしれない恐怖より、注目されたいという方が勝ってしまっていたのだ。

ブリング・リングが行っていることは、何の言い訳もできない、紛れもない窃盗であるが、被害者たちにあまり同情できないのは、自宅に入れてしまった原因は、スター達にもあるからだ。パリス・ヒルトンは、5回以上も家に入られている。

日本と違って、ハリウッドスターやセレブの自宅や別荘は、普通に知られてしまっている。地図にも載っているし、セレブの家を周るツアーもあるぐらいだ。

ただでさえ知られてしまっていて、SNSで留守情報まで発信してしまっているというのに、警備がゆるゆるだったのだ。

パリス・ヒルトンの家は警報も鳴らなければ、鍵は玄関マットの裏に置いてあるという不用心さが酷い。

あまりにも知られてしまっているために、逆に誰も入ってこないという油断が招いた事態でもあり、普通にセキュリティをかけていれば、犯罪は未遂で終わり、ブリング・リングは誕生しなかったのかもしれない。

盗る方は勿論悪いが、盗られた方も盗られた方だということだ。

リンジー・ローハンの逮捕問題やレイチェル・ビルソンとヘイデン・クリステンセンの交際事情などの当時のゴシップネタが所々に入っているのも楽しい作品ではあり、様々な角度から楽しめる作品である。

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