作品情報
フィリップ・リーブの小説「移動都市」を『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』のピーター・ジャクソン製作、脚本で映画化。「60分戦争」と呼ばれる最終戦争から数百年の時が過ぎ、わずかに残された人類は地を這う移動型の都市で生活することを余儀なくされた。巨大移動都市ロンドンは、都市同士が捕食しあう弱肉強食の荒れ果てた地でその支配を拡大させ、小さな都市を捕食することで成長を続けている。そんなロンドンの指導者的立場にあるヴァレンタインに対し、過去のある出来事から復讐心をたぎらせる少女ヘスターは、ある小都市がロンドンに捕食される騒ぎに乗じてロンドンに潜入。ヴァレンタインに刃を向けるが……。へスター役は『アンナ・カレーニナ』などに出演し、アイスランド出身の新鋭ヘラ・ヒルマー、その他の出演者には『マトリックス』『ハクソー・リッジ』のヒューゴ・ウィービング、『アンブレラ・アカデミー』『デビルクエスト』がロバート・シーアン。監督は、これまでのピーター・ジャクソン作品にストーリーアーティストや視覚効果、第2班監督などで携わり、『キング・コング』ではアカデミー視覚効果賞を受賞したクリスチャン・リバーズ。
『移動都市/モータル・エンジン』レビュー
デザインは抜群?!ファンタジー監督の申し子
『ロード・オブ・ザ・リング』『キングコング』のピーター・ジャクソンが製作を務めた作品ではあるが、監督したのはピーター・ジャクソンではない。
監督はこの作品が長編監督デビューとなるクリスチャン・リバースは今までピーター・ジャクソンの作品でアートディレクターなどを務め、『キングコング』ではアカデミー賞視覚効果賞を受賞した。
クリスチャン・バースが今まで手掛けてきた作品は、ピーター・ジャクソンがらみのものばかりなのは何故か…それはクリスチャン・リバースがピーター・ジャクソン大好き少年だったからである。
クリスチャン・バースはピーター・ジャクソン作品がとにかく好きすぎて、ピーター・ジャクソン宛にファンレターを書いたことがきっかけで、17歳にしてピーター組の一員になり、1992年の『ブレインデッド』以降、ピーター・ジャクソンの作品に何等かのかたちで関わっているという異例の経歴をもつ映画人。
残念なのは、全体的に日本の漫画や映画を参考にしていて、オリジリティに欠けている。
中世を舞台としたファンタジーを描いてきたピーター・ジャクソンが未来を舞台とした作品を製作したのは2010年の『第9地区』以来となるが、今回の設定は人類が戦争によって、ほとんど死に絶えた後の数百年後という超未来設定。
腐敗した状態で未来設定というのは『マッドマックス』や『北斗の拳』のような世界観だが、ここで参考にされているのがジブリ作品や『進撃の巨人』などのアニメや漫画作品。
建物や小道具などのデザインは目を惹くが、大まかなデザインが見慣れたものやどこかで観た様なものとなってしまっているのが残念でならない。それが魅力と言う人は結構楽しめるかもしれない。
サプライズで今やユニバーサルを代表するキャラクターが一瞬、登場するのは要チェック!!
デザインやビジュアルを売りにしているピーター・ジャクソン組の作品としては物足りない結果となった。
ファンタジーと言っても国同士のバトルはNG??
設定としておもしろいのは、他国ではなく舞台である移動都市、イギリスのロンドン自体が敵になるということ。
移動都市同士のバトルを期待した人もいると思うが、さすがにファンタジー設定ということで国と国とがバトルを繰り広げるというのはNGだったのか、他にも移動都市は登場するものの、小型のはぐれ物ばかり。
唯一、登場するアジア系の国は架空のものとされている。
ロンドンに住む人たちも基本的にいい人が多く、本当に一部の上に立つ人間がやらかしているという設定。 対決というのも移動都市同士ではなく、内部戦が多いため、エンターテイメント映画としても物足りなさを感じる。
また移動都市と言っても、結果的に自分たちが産まれ育った場所が破壊されるのには抵抗がないのだろうか…登場人物たちの心情がファンタジーという大きな繭によって、ざっくりとされすぎてしまっていることで人間ドラマとしても薄い割に登場人物を散りばめすぎていて、全体的に回収が追い付いていない。
スケールが大きい様に見えて、小さい映画となってしまった。
ロバート・シーアンがジャスティン・ロングに見えて仕方がない!!
この作品でもう一人の主人公トムを演じているロバート・シーアン。
ダークホースコミックス原作のドラマ『アンブレラ・アカデミー』にも出演している若手俳優。前々から気になってはいたが『移動都市/モータルエンジン』では特に思うのが…ジャスティン・ロングに似てる!!
ジャスティン・ロングというのは『ダイ・ハード4.0』『スペル』などに出演している個人的に凄く好きな俳優。
そのジャスティン・ロングに顔も表情もそっくりなのだ。
静止画では似てないと感じる部分もあるのが、演技で見せる表情がとにかくそっくり! 個人的には映画よりも、そのことに気がとられてしまった。 是非、共演してもらいたいものだ。
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