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THE映画紹介『ホワイト・オランダー』断ち切ることができない母からの呪縛に立ち向かう決意をするまでの物語

THE映画紹介『ホワイト・オランダー』断ち切ることができない母からの呪縛に立ち向かう決意をするまでの物語

THE映画紹介とは?

THE映画紹介とは…劇場公開中には観れなかったもの、公開中に観たんだけれども…レビューする前にリリースされてしまったもの、単純に旧作と言われるものを独自の偏見と趣味嗜好強めに紹介するもの。

アメリカ映画、インド映画、ドイツ映画、アジア映画、アニメ、ドキュメンタリー….なんでもあり!!

今回紹介するのは『ホワイト・オランダー』

作品情報

ジャネット・フィッチの全米ベストセラー小説を、豪華女優陣の競演で映画化したヒューマン・ドラマ。美しく支配的な母親が逮捕されたことで、里親を転々とすることになる少女の心の自立と母との葛藤を描く。監督は「嵐が丘」のピーター・コズミンスキー。主人公には『スペル』『マッチスティック・メン』のアリソン・ローマン。その母親に『グリース2』『ヘアスプレー』のミシェル・ファイファー。共演に『ジュディ 虹の彼方に』『シカゴ』のレネー・ゼルウィガー、『ワンダーウーマン』『マネーボール』のロビン・ライトなど。

『ホワイト・オランダー』基本情報

2002年製作/109分/アメリカ
原題:White Oleander

監督:ピーター・コズミンスキー

出演 : アリソン・ローマン、ミシェル・ファイファー、レネー・ゼルウィガーなど

短評

『Britz』『The Project』などの社会派なテレビ映画やミニドラマシリーズを手掛けるピーター・コズミンスキーが『Paint It Black』などで知られるジャネット・フィッチの同名ベストセラー(日本では『扉』というタイトルで出版)を映画化した作品。

実の母親が逮捕されたことで、里親を転々としながら窮屈な隙間ながらも、自分の居場所を何とか作って、馴染んで行こうとするアストリッドに、まとわりつく母親の存在と「母」とは何か、「子」とは何かを血の繋がりという単純な関係性ではなく「因縁」や「呪縛」という観点から描いた作品である。

アストリッドはそのつもりはなくても、周囲が犯罪者の娘、男にだらしない女の娘という目で見られてしまうことで、そのイメージが作り出す負の連鎖に足をすくわれ、断ち切ることができない不条理さと、自分の運命の残酷さを、それぞれの里親と接するうちに感じ、自分で負の連鎖を食い止めようと奮闘する姿、そして逃げてきていた「母」という存在と正面から向き合う決意をするまでの物語であって、繊細なタッチでありながら、アストリッドの心の揺らぎをアリソン・ローマンの透き通った演技によって、見事に描き出している。

アーティストや強烈な個性や価値観を持った親を持つと、子は苦労するという作品はオーガステン・バロウズ原作で映画化もされた『ハサミを持って突っ走る』などでも描かれている。

小ネタとして、2番目の里親のレネー・ゼルウィガーが演じるクレアというキャラクターは、売れない女優という設定なのだが、劇中で出演したホラー映画を観るシーンがある。そりホラー映画というのが1995年の『悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス』である。

『悪魔のいけにえ レジェンド・オブ・レザーフェイス』という作品は、正にレネー・ゼルフィガーが無名だった頃に出演したホラー映画であって、レネーの自虐ネタとなっていて、唯一の笑い所である。

パトリック・フュジット演じるポールは、コミックアーティストを目指していて、所々にコミックショップが登場し、のちにアストリッドとポールの再会を助ける重要な場所として描かれている。

ピーター・コズミンスキーという監督は、オックスフォード大学を卒業し、宗教やテロなどを扱った作品を数多く手がけているだけにお堅い人物かと思いきや、レネー・ゼルウィガーの自虐ネタやコミックネタなどユーモアのセンスも持ち合わせているのだ。

彼の作品のほとんどは日本では観ることができないのが残念である。

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