作品情報
アメリカ、カリフォルニア州ナパ郊外、広大な土地に建つ理想的なマイホームを購入したハワード夫婦。そこで誰もがうらやむ幸せな生活を過ごすはずだった。
しかし、前住人のチャーリーはその家に異常な執着をみせ、夫婦の生活に何かにつけて干渉してくる。やがて、チャーリーの恐るべき秘密が暴かれる・・・
発掘!未公開映画研究所とは?
宗教性の問題、出演者の知名度、お笑いの感覚の違い…などなどの理由によって、日本では公開にいたらない作品が多く存在する。アカデミー賞にノミネートされている作品でも未公開作品は多い。
それもそうだろう、逆にアメリカやフランスで日本の映画が何でも公開されていると言えばそんなわけもなく、全体的に見て1割にも満たないだろう。
日本はそんな中でも割と海外の作品を公開している珍しい国であって、そんな中でもやっぱり公開されない映画というのは山のように存在する。
「発掘!未公開映画研究所」はそんな映画を発掘していくというもので、その中でも更に知名度が低いものを扱っていくつもりだが、必ずしも良作ばかりではない、中には内容がひど過ぎて公開できなかったものもあるのでご注意を!!
今回紹介するのは『侵入する男』
短評
デニス・クエイドの怪演もむなしく日本では配信&DVDスルーとなったあげく、『侵入する男』という酷い邦題を付けられてしまったという悲しい作品。
『レイクビュー・テラス 危険な隣人』『オブセッション 歪んだ愛の果て 』『ブラインド・フィアー』など家を舞台にした作品が得意なデヴィッド・ローヘリーが脚本を手掛けたということもあって、今回も「家」が舞台となっている。
アメリカ公開時には、このサイトでも紹介した作品でもある。
破産した男チャーリーが泣く泣く手放した家を購入した夫婦に襲いかかる恐怖を描いたサスペンス・スリラー。
夫のスコットは仕事で忙しく、広い家にほんどいない中で、前の家の持主が親切に家のことをいろいろ教えてくれたり、食べ物を持ってきてくれたりとしてくれる親切さと同情心とで強い態度もとることができず、アニーは家に招いてしまう。
今だけ今だけと思っていたら、娘と暮らすと言っていたはずが、何故か家の近くを未だにうろついている…親切だけど極度なおせっかいという人って普通にいると思うが、今作を観ると、親切の裏側の怖さというものの余韻が残ってしまうかもしれない。
親切からの狂気という変貌は 『レイクビュー・テラス 危険な隣人』にも通じる部分がある。
大金を払って購入した夢のマイホームということもあって、賃貸みたいに何かあったからと言ってすぐに出ていくわけにもいかないという、ある意味で逃げ場のない環境というのも更に恐怖を引き立てる。
デニス・クエイドが初めは親切なおじさんから狂気に変わっていくという怪演を見事に演じているものの、演出が『シャイニング』を丸パクリしていて、ドアの割れ目から除くシーンなどは、逆にそのまま過ぎてパロディ映画かと錯覚させられてしまう。
銃によって兄を失ったスコットが、銃を拒み続けるが、最後には銃を手に取ることになるというのは、暴力を拒み続けた結果、暴力を使うしかなくなるという状況はサム・ペキンパーの『わらの犬』のようだったりする。
オマージュというのは、なんとなく感じさせるぐらいが丁度いいのだが、ハッキリとわかるレベルになってしまっては、もはやそれはパロディであり、デニス・クエイドのせっかく怪演がお笑い要素になってしまっているため、はっきり言って肝心なところで怖いと感じさせてくれないのだ。
デニス・クエイド…いい表情にしているだけに残念だ。
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