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第38回東京国際映画祭作品レビュー:18:『ガールズ・オン・ワイヤー』

第38回東京国際映画祭作品レビュー:18:『ガールズ・オン・ワイヤー』

作品情報

監督/脚本:ヴィヴィアン・チュウ

エグゼクティブ・プロデューサー:イン・ホア

プロデューサー/脚本:ショーン・チェン

プロデューサー:チン・ホン

プロデューサー:シュー・ジャーハン

共同プロデューサー:マイク・ダウニー

脚本:ポン・ジン

撮影監督:ジャン・チャオイー

編集:ヤン・ホンユー

プロデューサー:セバスチャン・デロワ

出演:リウ・ハオツン

ウェン・チー

チャン・ヨウハオ

リウ・イーティエ

114分/カラー/北京語/2025年/中国

【ストーリー】

自らを取り巻く苦難から逃れようとするふたりの女性を力強く描いた作品。家族の負債を返済するため、映画のスタントウーマンとして働いているファン・ディーのもとに、絶縁状態だったいとこのティエン・ティエンが訪ねてくる。麻薬中毒者で暴力を振るう父親を密告したことから麻薬組織に捕らえられたティエン・ティエンは、自己防衛のために組織の一員を殺してしまい、組織から追われていた…。

スタントウーマンとして過酷なアクションもこなすファンだが、母親の縫製工場の借金を返すためにする仕事としては割りには合わず、借金どころか日々の生活もギリギリ状態。

どこかで自分の夢を追い求めることが諦めきれず、いつか俳優として活躍できる日がくるまでの下積みとして、スタントの仕事をしているようにも思えるが、ある時、顔出し俳優としての仕事が回ってきても、どうして上手く演技ができず、演技をしようとすると自分の滑稽さに笑ってしまう。もはや何のためにスタントの仕事をしているのかもわからない。

そんな日々を過ごしていたファンのもとに、一緒に暮らしていた母親の弟の娘、つまり従妹にあたるのだが、幼い頃から一緒に生活していたこともあって、妹のように接してきたティエンが訪ねてくる。

ティエンは、17歳で妊娠し、薬物中毒、そしてギャンブルに薬物と、どうしようもない父親による負担など、様々なことがありすぎて、人生を諦めているような状態。お金が欲しいわけではなく、ただ姉の温もりを感じたくて、最後の希望としてファンを訪ねることを決意していたのだ。

一方、抱えきれない問題から逃げるように家を出たファンは、できるだけ、トラブルの元になりかねない家族から距離をとろうとしていたが、どうしてもティエンを無視することはできず、ふたりは再び姉妹のような時間を過ごすようになるものの、状況は悲惨。

もはや中国映画の悪いところというべきか、変なお笑い要素が入っていた。例えばファンを追ってきた麻薬組織が撮影現場でエキストラに間違えられたり、浜辺でコントみたいな追いかけっこがあったりで、いくつかコミカルな(コミカルに感じる)シーンがあるため、麻薬組織の恐ろしさが半減してしまい、緊張感が途切れるのは難点だ。

今作を手掛けたヴィヴィアン・チュイは、『水印街』(2013)やフィルメックスで上映された『天使は白をまとう』(2017)など、女性監督ならではの繊細なタッチが特徴的で、今作のなかでも、その繊細なタッチは健在なのだが、どこか商業映画の香りが邪魔をしているようでならない。

タイトルは、綱渡りのような、ギリギリのラインを歩いているふたりという意味と、ふたりを繋ぐ絆はワイヤーのようなもので、切っても切れない関係というふたつの意味が含まれているように感じた。

総合評価:72点

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